第270話 boy's dream

機関車は、停止位置で

静かに停まる。


それは、夢だから?



いえいえ、リサが自信を持ったから。


失敗したくないと言う思いが

リサの感性を鈍らせていたのです。




おじいちゃんがついている。




安心感が、リサの能力を発揮させました。




よかったね、リサ。



見ているめぐも、なんとなく幸せです。







翌朝......。

すっきりと目覚めたリサは、元気です。




「おはよう、めぐ」と。



めぐは、ほとんど起きていましたけど


少し眠くて。



「ふぁ?」と。





でも、爽やかなおめざめ。




リサの、爽やかさの訳は

めぐにもわかります。




「夕べ、夢におじいちゃんが出てきたの。

夢、なのかな?



おじいちゃんは、機関車にわたしを乗せてくれて。


運転を教えてくれた。



わたしの事を、悲しんでいなかったの。




と、リサは、嬉しそうに言いました。




めぐにも、嬉しさは伝わってきます。


もう、リサは悩む事はないでしょう。



おじいちゃんがついているんだもの。


機関車乗りの血が、ふたりを結び付けたのでしょうね。




鉄道員の血。


警察官の血。


郵便局員の血。


図書館司書の血(?)






いろいろあるかもしれないけれど。




それぞれに、記憶の中の

懐かしい思い出が、それぞれを

呼んでいるのかもしれません。




ひとは、社会に生きていて。


社会から、何かを得て。


その社会を育てて行く、守って行く。




そんなふうに、生きていく事も

ひとつの在り方なのかな、なんて

めぐも思いました。






リサのお母さんと、お父さんと。


リサと。



リサの弟と。




ちなみに、リサの弟は

17歳です。


いまのめぐと似たような年回りで......



なんとなく、ロマンスがめぐと

芽生えそうな

そんな雰囲気もあったのですけど(笑)。





目が会うと、ちょっと恥ずかしそうに視線を逸らせたり。


少し、俯き加減に

めぐの様子を伺ったり。





ちょっと、それも

楽しい恋かもしれません。




思っている瞬間が、恋、なのです。




でも、悲しいかな、めぐは異次元の恋人です。





それを知る人はめぐ、だけなのですけれど......。





リサの弟さんが、めぐを訪ねて

もし、図書館に行ったら

びっくりしないといいけど、と


めぐは思いました(笑)

まだ見ぬ、21歳の自分に。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る