第271話 boyfriend

めぐの記憶の中にも、リサの弟の事は


なんとなく、残っている。


ひとつしか歳が違わないのに、なぜか

とてもかわいらしい、そんな少年に思えた

のは


(本当は4つ違いになる訳だが)。



それは、めぐが魔法使いだからと言う


訳でもなく(笑)。


リサの弟が、純真で愛らしい少年なのは

お姉さんリサが、可愛がっていたから、そんな理由もあったりする。




人って、そういうもので

可愛がって貰えると、その思いに

沿ってあげようと


そんなふうに思ったりもして

自然に、演じてしまったりする。




本当に、なりたい自分。



そういうものは、実はあまり明確なものではなかったりするので



リサの弟の場合、そのせいで

めぐから、カワイイ男の子、と

思われる事は



彼にとっては、少し

不本意な事だったのかもしれない。




お姉さんの友達。



でも、この日のめぐは


18歳のままだったので



17歳の少年にとっては、魅力的だったのかもしれな(笑)。








突然、恋は始まったりするが



突然、終わったりもする(笑)。






めぐにとっては、リサの悩みが消えたら


もう、この3年後の世界に

用は無くなったので




すぐにでも帰りたいところ。



元々の3年前の時間軸は

例によって


ほとんど停止している




あまり長時間になると、元々の時間軸がゆっくりでも動いているので

芳しくない。





「じゃ、帰るわ」と

めぐは、リサにそう告げる。




一宿一飯の恩義、ではないが(笑)

朝ご飯の片付けなどを手伝って。



リサのお母さんから、図書館司書試験の話とか聞かれても

さっぱりわからないので(笑)閉口したり。



リサの弟が、図書館に勤めたい、なんて

言っているらしくて。


それはそれで、いい事だけど



それが、めぐと一緒に働きたい、なんて


かわいい願いだったら、ちょっと困る(笑)。




もしかして、21歳のめぐは



リサの弟に、恋を告白されたりしてるのだろうか(笑)

なんて。


それはそれで楽しいかもしれないけれど。




「いつから、そんなふうに思ってくれてたんだろう」と

めぐ自身には覚えがないので


それは、ひょっとして

ハイスクールを卒業してからの

事なのかも。

めぐは、リサの出社と一緒に



ミニクーパーで、路面電車の車庫まで行って。

少し、リサの仕事ぶりを見学してから


帰る事、にした。





身支度をして、リサと一緒に出かけよう



とすると

彼は、切なそうに見つめる。




かわいいわんこみたいで、めぐは、


思わず、リサの弟の髪を撫でる。

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