第176話  すごい風


すごい風



時速1700kmと言うと、秒速なら472mになる。


台風の風でも40mくらいだから、相当な風速。



気をつけてモデル変換をしないと、壊れてしまうかもしれないが


それは、感覚でいい。


方向をみながら、2次元化して



凧のように飛んで行けばいいのだ。



大気は、地球について回っている。


季節風や、気圧の影響も僅かなものだ。





・・・・・でも、めぐの着陸方向は(笑)



海の向こうのロンドンだったから(笑)。



60kmくらいは流された事になる。


見た事のない外国の景色は

新鮮で良かったけれど



大きな教会の鐘や、時計台。


港町と、石造りの街。



「いつか、昼間に

ゆっくりと観光したいなー、2階立てバスで」


なんて、のんびりさんのめぐは


にこにこしながら。



でも、夜のロンドンにひとりで下りるのは

ちょっと怖い。




もう一度上昇して、元に戻る事にした。


風の影響を受けないように、時間軸軸を戻す。



そうすると、数分前に戻るのだから


もといた場所に戻ることになる。




「やっぱり、地学をもう少し勉強しておけばよかったかしら。」と

めぐは、反省。



理科系でも、地学ってなんとなく

覚える事が多くて。

めぐは苦手だったりする。



物理学や化学は、考えて構築する。



それに比べると、地学は少し地味だった。


「こんなところで使うとは思わなかったあ」と


めぐは、ちょtっと反省。


風向を見たり、天候を予測したり。



迂闊に雨雲に入れば、びしょ濡れ。


雷雲に入ると、感電はしないけど

ちょっと怖いかも。




それに比べて、時間旅行は楽だった。


ただ、上空に舞って0次元モデルになってしまえば


重力場の影響から逃れられる。

質量0の粒子となって


光子に押されて、急加速。


光速を超えれば、時間は逆転する。



アルバート・アインシュタインの


述べた通りだ。








びゅん、と

音がするくらいにしっかりと

もといた、めぐのお家上空に

戻ってきた、めぐ。



時間を逆転させたとは、お月様にも

わからない。




さっき、消えたのに


また戻ってきた。



そんなふうにしか、見えない。





つまり、時間軸を縮めたぶん

空間も歪んだのだった。




めぐの周辺だけ。



 



魔法使いの家系



魔法使いルーフィの勘が当たっていたとすれば

めぐは、血統のどこかで魔法使いが先祖だったのか・・・・


それか、魔法使いの生まれ変わりで、その記憶の影響なのか。



それは、今のところわからないけれど。



その両方かもしれない。



そういう事は、よくある。




めぐのおばあちゃんも、魔法使いっぽかったし。

おじいちゃんは、わからないけれど。


お父さん、お母さんも

超次元の旅人を、ふつうに受け入れるひと。



「どっかで、つながってるのかな」


ルーフィは、めぐの飛行少女(w)ぶりを見てそう思う。




もっとも、めぐは

ルーフィのためになりたくて、懸命なのだけど。






「...向こうの世界のMegと、似て非なるめぐちゃん、か。」と

ルーフィはつぶやく。



3年、時間がずれているけれど

どこか、違っている。



時空が歪んでいるので、当然なのだけれど。




もともと、Megがわが身の3年前を見てみたいと思って

時間旅行をしたつもりで

時空を越えて、こちらに来てしまった。


そういう関係性だから、3次元的な空間座標はそっくりだ。



「並列世界みたいだ」と、ルーフィは思う。



そっくりな構造の3次元的な時空間でも、それは

直線的な3次元ではないから、曲線で、縦・横・奥行きを

とても大きな規模で見ると、どこかが歪んでしまう。



その歪みが、お互いに交わっている座標であるとされる。



重力場が変わっているから、ふつうの3次元空間より

重いところに別の時空がある、と言うのが

この並列世界、と言う概念。



重合するような、ミクロレベルの多次元宇宙とは

また違った理論である。




「どっちかわからないけど」と、ルーフィは

量子コンピュータで計算してみようかと

本当に思った。



シミュレーション・システム。



matlabで計算してみるかな、と


ルーフィは、物理式をsimulinkに書き込んだ。













一方のめぐは、無事に戻れた事で

いくらか、自信を持った。






「あとは、向こうの世界に行って見るだけ。

ルーフィさんに一緒に行ってもらお。」



夏休みになる前、ルーフィさんに

連れて行ってもらう約束だった、時間旅行。


それが、いろいろあって。


のびのびになってしまっていた。




夏休みが終わる前に、行って来たいけど・・・・。







「坊やも連れて行くのかしら」と、ふと、めぐは思う。



おばあちゃんが可愛がってるから。

別れが辛いだろうな・・・・。なんて。




「とりあえず、ルーフィさんとふたりで行ってみたいけど・・・・でも

坊やのお母さんも心配してるだろうし・・・・。」


悩む乙女、めぐ(笑)






ふわり、とバルコニーのところへ降りる。


そこで、ようやく3次元実体に戻ったわけだけど。



0次元モデルに近づくにつれ、体重が軽くなる。




「ふだん、ちょっとだけ軽くしておきたいな」なんて

悩む乙女、めぐ(笑)。





・・・・・(元)天使さん、クリスタさんは

いつも軽いので、羨ましい(笑)めぐだった。





飛べる。飛べる。



とりあえず、飛べるようにはなっためぐ。

でも、まだ・・・いまひとつ自信はない。


坊やを連れて飛んでいくなんて・・・・



と、めぐは思ったり。




それで、ルーフィーに相談。


屋根裏部屋の出窓には、まだ

明かりがついている。



時間は、まだ午後9時くらいだ。


ちょっと、いたずら心を出して

めぐは、出窓のところに飛んで行こうとした。


歩いていけば、行けない事もないけれど


三角屋根だし、傾斜が急で

ちょっと滑りそう。


F=mghcosθなので

mとθを適合すればいい。

3次元の自分の実体を

少しずつ、0次元に近づけていくと

F、つまり重力影響が少なくなる。



m、質量が何グラムなのかは・・・

オトメの内緒だ(笑)。



でもその質量は、地球の重力の影響下では、そうなる。



それだけの理由である。


もっとも、質量が問題なのではなく


形状、つまりスタイルが重要なんだけど。


「スタイルよくする魔法、ってないかな」

と、めぐは、オトメらしくそう思ったり(笑)。




そんな事を考えながらでも、魔法が使えるようになった。


慣れたのだろう。



0次元モデル化のプロトコールである。



プロトコール、つまり、約束だ。


魔法さんとの約束、である。




普通の物理学では、重力などによる凝縮で3次元物体は、0次元に向かうけれど



これは、理論物理学である。








地上に僅かな空隙を持ち、めぐは

三角屋根を滑るように移動する。



魔法使いの女の子が、ほうきに乗って飛ぶように。



斜め運動なので、三角関数を持つ連立解だが


もちろん、そこは魔法である。



暗算をして代入する訳でもない(笑)。




すーう、と

音もなく、三角屋根の勾配θに沿って

めぐは飛ぶ。


足を、お屋根に付けて見ても

抵抗を感じない、浮遊である。


空間に固定されていないので、それは当然だ。




でも、進む先に地上があると

止めるのは難しい。


斜め上向けのマイナスの重力加速度を、そこで抑える。


つまり、mを少しずつ増やして止めるのであるから


それは、結構難しい。


バルコニーの位置から、すこし高い出窓の位置までの



位置エネルギーの差分が、この運動を司る訳で


重力加速度1N、それと質量mと高さHの積であるが


アイザック・ニュートンも



21世紀に、魔法使いに応用されるとは

思わなかっただろう(笑)。




でも、その停止は上手く行かない。



ブレーキがないので、それは当然かもしれない。



出窓の縁を手で押さえて。


それでも足りなくて。


モモンガみたいに両手、両足で

窓枠を抑えた(笑)。



ルーフィーは、明かりのついた屋根裏部屋で、その様子を伺っていたら



ガラス窓に突進してくるめぐを見て


ちょっと身構えた(笑)。



窓を、ルーフィーが開くと

めぐは、停まるべき対象が無くなって


ルーフィーに抱き留められてしまった。




「いらっしゃい、かわいい魔女さん」と

ルーフィーはにっこり。



めぐは、ぱっ、と後退したせいで

窓枠に頭をぶっつけた(笑)。




「ご、ごめんなさいー・・・!」




恥ずかしくて、顔が火事みたい(笑)。



と、めぐは思う。


「ルーフィーさんに、抱きしめられちゃったぁ」と、めぐはにこにこ。




「その表現は誤解を招くね」と

ルーフィー。




「いいの。」と、めぐはにこにこ。





「誰にも言わないように」と、ルーフィー。



「うん、ふたりだけの秘密だもん。」と、めぐは楽しい。(笑)。



ユーモア混じりでも、好きなルーフィーさんに近づけて。



それは、とっても嬉しかったりする18歳だった。



好きって、理由なんかいらないもの。


めぐは、心でそう思う。








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