第115話  好き





好き



飛び降りるように、モペッドを下車した

めぐを、びっくりして


さむとたまぁは見ている。



「どうしたの?」とでも

言っているように。


その言葉は、ルーフィには聞こえるけれど


めぐは、まだその言葉を知らない。。


フィーリングで、そんなふうに


言ってるように聞こえるだけ。。



「なんでもないの。ちょっと、恥ずかしかっただけ」と、

さむに、めぐは答えた。




さむは、その言葉をたぶん理解していて。


めぐのそばで、舌を出して


息をしながら。



おすわりをしている。




「ごめんなさい、でも、突然だったから。」と

ルーフィは言う。



めぐは、そのルーフィの優しさが

うれしい。けれども・・・・。



なんというか、触れられると

ちょっと、驚いてしまう。


今まで、感じたことのない気持ちに

ちょっと。




ルーフィさんは好きだけど・・・・。。



そう思い、ふと、めぐは

もうひとりの自分、その3年後の人。



ルーフィのパートナーのことを

思ったり。(笑)。




Megさんとは、時々

あんなふうにしてるのかしら。



なんて、めぐは

追いつく事のない3年、と言う時間と


先に巡り会えなかった運命を

ちょっとだけ寂しく思うのだった。。



「ううん、あたしが悪いの。

びっくりしたから。」と

めぐは、まださっきの衝撃を忘れられないで。


頬を染めて俯いてしまう。


「じゃ、運転はやめる?」と


ルーフィは尋ねる。




でも、そこはやっぱりめぐなので(笑)。




「いいえ。こんどは失敗しません!

頑張って覚えます。運転。」と。



その言葉で、ルーフィは


めぐがモペッドの運転をしたことない事を

初めて知るのだった。(笑)。


無鉄砲で、元気で、明るくて。


とってもかわいいよな。


なんて、ルーフィは思う。






それで、今度は


ひとりで、ちょっと乗ってみようかな?


そんなふうにめぐが言うので、

「それって危ないんじゃない?」と

ルーフィは言い「大丈夫、今度は

上手くするから」と言って


めぐの後ろにまた乗った。



「アクセルを急に回さなければいいのさ」と言って。


精密なものだけれども、

アクセルを回すと、ワイアが巻き取られる。


グリップに、巻き取りボビンがついていて

ワイアの先に、スロットルバルブが

ある。


エンジンが吸い込む空気を、それで加減するのであるが


空気だけでは、爆発して

タイアを回す力は起きない。

燃料を、適当に混ぜて


燃えやすくするようにしないといけない。


エンジンの回転数、空気の量・密度に沿っての制御だ。




その、燃料と空気の比率を

ストイキミクスチャー、またはラムダと言う。


ラムダはストイキミクスチャーの逆数である。と


これは現代でもある科学技術の

ほんの初歩だが


興味のない人には、呪文のように

聞こえるかもしれない。


だが、それが理論的な体系を持って

使われる時、魔法のように

作用するのだ。



ルーフィの魔法は、それと似ている。



実は、18世紀の科学であったのかもしれない。




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