第29話 天使さんの恋





時間と生命



ずっと、生きられたらいいのに、と

めぐは、なんとなく思うのは


おじいちゃんの事を思い出したりしたから、かな?



おじいちゃんは、優しかった。

大きくて、物静かで。

にこにこしてて。


おじいちゃんに、喜んでほしい、

そんな風に思ったし


いつか、優しいおじいちゃんの

真似をしてたような、そんな気もする。



おばあちゃんも、そんな感じかしら。


おばあちゃんは、のんびりさんで

しっかりしてて。


いつも、いろんな事を

教えてくれる。




お父さん、お母さんも


そうだけど、ちょっと口に出すのは

恥ずかしいから(笑)


言わない。




いつか、年を取ったら

お話をしたいな、と思ってる。



頑張って、わたしを

育ててくれたんだもの。



めぐは、優しい子。


猫を飼ったり、犬を飼ったりしてたから

世話が大変、ってことも分かったし

お金かかる事も(笑)


死んじゃったら悲しい事も。




そういう人生の記憶を持って、人は生きている。




天使さんは、そんなめぐ、を傍観していて

少し、羨ましいって思ったりした。


天使には、家族は無かったりするし

それなので、恋、って感覚も

ちょっと、人間とは違う、そんな気もした。



それなので、ルーフィにめぐが

恋してる、その感覚は分かるけど


天使さんの感じかたとは違うのかな、と

思ったりもした。






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天使さんの恋



例えば、恋したとしても

天使さんは、競ったり

争ったりする事は無い。


もともと、それは

家族を作る為の、人間の行為なので

子供を生まない天使には、そういうものは

必要ない。


ただ、恋した人の幸せを願い、お手伝いをする。


それが、天使さんの愛である。


憎んだり、怒ったりする事もない。



争いがなければ、起きない事である。




なので、悪魔くんの感覚は、天使さんには

分からないから


いつか、天界に昇る必要があるのだけれど。



そのために。いま

にゃごになっている。



ずっと、良い事をして

次は人間に転生しなくては、ならないけれど

それは、果てしない旅になりそうだ。





「それでね、図書館のお庭のお池を、プールにして

わんこさんに泳いで貰ったら、いいと思うの」と

めぐは、アイデアを楽しそうに話した。


図書館の裏手には、ちょっとした池があって

普段は水が入っていない。

大雨の時とかに、水を貯めるように出来ているので

栓をしておけば、自然にお水が貯まる。



「いいわね」と、わたし。



「いいんじゃない」と、ルーフィ。


夏向きで、楽しそうなイベントだ、と思う。


大人の視点だと、いろいろ、心配はあるけれど

でも、今は夢、だもの。



楽しくすごそうね。


と、わたしはめぐに、心の中でつぶやいた。



「主任さんに聞いてみよっよ」めぐは、楽しそう。




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お誘い



それで、図書館はお休みだったけど

司書主任さん、ふくよかなおじさんだけど

とっても優しくて、いい人。


電話番号は、連絡網で知っている(笑)ので

お休みだけど、たぶん、図書館にいるだろうと思って

電話してみた、めぐ。


ちょっと、ご迷惑かな....。と

思ったりもしたけれど、でも、優しい主任さんだったら。

許してくれると思う、女の子のわがまま(笑)。


でもまあ、許されるうちが花である(笑)。



許されるうちに控えないと、そのうち自然に許されなくなる(笑)

それも、人間としての自然な心である。


わがままが許されるのは、見た目が愛らしいからではなく

慈しみの心を持って扱ってくれるから、で


そうでない男は、危険な存在である(笑)と、おばあちゃんは

教えてくれる。



もっとも、めぐの場合図書館しか行かないので

危険な男など、知り合える筈もないのだが(笑)女子校だし。




「あー....ああ、君か。なに?」

と、のどかな声で、主任さんは答えた。



めぐは、アイデアを伝える。



「うん、お水を張っておくだけなら大丈夫だと思うな。」と、

主任さんは言ったので、めぐは嬉しくなった。



図書館の前で、暑い夏の日に

わんこさんが待ってたり。


ちょっと、かわいそうに思ってたから....。



涼しい日陰の、お池のそばなら、わんこさんも

うれしいんじゃないかしら。




めぐは、うきうきしてたけど、主任さんの言葉に

ちょっと、どっきり。


「あのね...その...言い難いんだけど。

うちの甥がね...今度の、試写会に...その...。

いかがですか...。と」

主任さんは、まるで自分がデートに誘っているくらいに

緊張して、たどたどしく言葉を選んだ。




めぐは、返事をどう、していいかわからなかった。



そういう誘いを、受けたことがなかったから。



男の子に、会ったことなんてなかったし...。



試写会と言うのは、図書館の3階ホールで

個人映画作家の作品を時々上映している催し、の事。




司書主任さんの甥御さんは、映画作家を目指している方、と

伺った事がある、と

めぐは思った。




どんな方か分からないけど....。でも、主任さんの甥御さんなら...。




そうは思ったけど、めぐの心には、ルーフィが居て。

はっきりはしないけれど。





どうしようかな.....。

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