第15話 ひそむ力




そのあと、めぐとふたりで

ルーフィのお風呂をノゾイテあげようかと(9w)

思ったけど、めぐがたぶん、しないだろうから。


止めて(笑)



お部屋に戻って「復讐したからねー」と


めぐに言ったら「わは。」って

めぐは、17才らしい声で笑ったので


わたし、少し安心。




「でもねー、知らなかったってのも

なんか怪しいよー。って」、わたし(w)。




「.....。ルーフィさん...あたしに興味を持ってくれたのかしら...?」



それは、まあ、わたしと同じで

ちょっと若い子(笑)なんて


刺激的かもしんないけどさー。



めぐのオトメココロは、千々に迷うわね(3w)。




それはひとまず、置いといて。



「めぐは、天使さんが宿ってるって意識、ないの?」と

わたしは気になってる事を、尋ねてみた。


ゆっくり、かぶりを振るめぐ、は

静かな表情。


ひょっとすると、天使さん....?かしら。



自然に、入れ替わったりしてるのかな....。






そのあと、ルーフィの部屋に行って

尋ねてみた。


「うーん....もともと、天使さんって

地上では生きていけないから。

それで、めぐちゃんに宿ってるんだろうけど。


いつかは帰るって約束なんだろうと思うな。


ここのお父さん、お母さんも

なーんとなく天使さんっぽいし。


ひょっとしたら、生まれた時から

天使さんと一緒なのかもね。」なんて。



....それだと、意識ないのも

なんとなく分かる。



ずーっとそうだったら。


「そういえば、わたしも

時間旅行ができるなんて、知らなかったし。

たぶん、これって、生まれつき....。かな」



それで、ルーフィに出会って

潜んでいた力が、思い出されるみたいに目覚めた。




わたしは、めぐのお部屋に戻って。

昨日みたいに、おやすみのしたくをしようとして。


そしたら、めぐが「おばあちゃんに縫ってもらったの!」って


かわいらしい、白、とももいろ、それと

そらいろの。


ふんわりとした生地の、浴衣。それを


肩のところに当てて。にこにこしてた。


「ねね、着てみてー。」って。わたし。

かわいいめぐを、見てみたくて。



帯の締め方がわからない、って言うから

わたしが締めてあげた。


西洋人が着ると、帯をベルトみたいに締めて

ヘンなんだけど、わたしはトラベル・ライターだから

日本ふうに、かわいらしく着付けてあげた。


細くて、かよわい感じのめぐ、女の子だなー、って

ちょっと、ささえてあげたくなるみたいな。

そんなめぐ、にぴったりの浴衣姿。


写真、とっておこ。


って、わたしは、バッグに入れたままの

仕事用のカメラを取り出した。


西ドイツの、有名なレンズ・メーカーの。

とてもきれいに写る、チタン・ボディのカメラ。

フィルムを使う、アナログのカメラなので

電池が無くても写る。だから

異世界に来ても、たぶん写る。

そこがすてき。


時間旅行をするわたしには、丁度いい。


ピントも手動、距離感は

二重に写るイメージが重なるようにする、って

いたって簡単。



それで、ひょい、と

数枚、スナップした。



「どんな?見たいなー」と、めぐが言うので


「これは、現像しないとダメなの」って。


なので、ケータイ電話で何枚か取った。


電池がなくなっちゃうから、電源を落としておいたんで

まだ、大丈夫。



その、写真を見せる。


めぐは「んー、斜め向いた方がスマートに見えるかな」なんて


写真写りを気にしてて。


そんなとこも、とてもかわいらしい。



「Megさんのもあるんですよー」って、めぐはにこにこ。


「ほら、ルーフィさんのも」



おばあちゃん、大変だったかな、ごめんなさい。



そう、思わず言ってしまう。


めぐは「ううん、おばあちゃんもうれしいの。孫が増えたみたいだ、って。」



そんな言葉を聞くと、いつか来る別れの日をイメージして

ちょっと、淋しくなっちゃうな.....。



そういえば、めぐに宿ってる天使さんも、ご用が済んだら

天界へ戻るんでしょうに....。



そのご用がなんなのか、わたしはまだ知らないけど


いっぺんに、みんなが居なくなっちゃわないと、いいな。


そんな風に思った。




せめても、と思って



「浴衣で、みんなで温泉に行って、花火したいねー。」

なんて言って。



わたしに誂えてもらった、浴衣を着て

めぐと一緒に写真を撮った。


ケータイのカメラでも撮って。


それは、ルーフィにあとでプリントしてもらおう。

機械、得意だもん。




わたしの浴衣は、水色、それと

シャガール・ブルーみたいな藍色が

模様になった、すてきなものだった。


こんなに、ステキな思い出が残っても

いつか、旅立ってしまうトラベラーって

せつないな、なんだか....。





旅愁



めぐが寝ちゃったのは、10時くらいだった。


いろいろあって、きょうは疲れちゃったのかな。


なんていったって、初めてのボインタッチ(笑)なんて

女の子にとっては、ちょっとショックがーん(3w)って感じだと思うけど。

でも、それがルーフィだったら、まだいっか。

事故だし(w)。


でも、そーしてみるとわたしの方がかわいそうかも。

だーってぇ。お医者さんに、それも女よぉ。

身体検査で触られたくらいだし(笑)。



ここはめぐのウチだけど、わたしの家、向こうの世界のと

つくりはそっくりだから、ちょっと、お屋根にのぼってみよっかな。


いつか、ルーフィと見たみたいに、お星さまを眺めたりって

ちょっとステキかも....。


なんて、静かーにお部屋を出て。

廊下から階段を昇って。

ルーフィの居る屋根裏部屋の脇をかすめ(3w)。


お屋根に昇って見ると...。



「あ、ルーフィ」



「やぁ」


どんかん魔法使いさんは(w)のんきに夕涼み。


「おばあちゃんが、作ってくれたのよ」わたしは、ルーフィの浴衣を

渡した。



「申し訳ないな、こんなに親切にしてもらって....。僕ら、いつか

いなくなるのに」と、ルーフィはわたしと同じ事を考えてた。



「.....ルーフィ、こっちに残るつもりはない?」と、わたしは

ちょっと気になってた事を聞いてみた。


夜空がきれいで、お星様がきらきら....。その、星座のきらめきは

わたしたちの世界とまったく、変わらないのに。



「天の川もおんなじ。」と、わたしはつぶやくと....。



「そっか。星空はおんなじなんだね。どっちの世界も。

時空が歪んでいない、たとえば月に行って時間軸を進めれば....

元の世界に戻れるかもしれないね。」



意外な発想に、わたしは驚いた。



「こっちの世界に残る...ってキミが言うのは、めぐちゃんのこと?」

と、どんかん魔法使いルーフィは、肝心な事に気づいた。



そして。

「こっちに戻るなんて、許されないよ。それは。」と

悲しい現実をルーフィは告げた。


「戻れなかったら、それは別だけどさ」とも言い

複雑な気持ちを、ルーフィは表現した。



あんなに可愛くて、初々しい子に愛されたら

それは、心穏やかでいられないだろうな.....。



なんたって、わたしと同じ子なんだもん(笑)

それで3つ若い。これは強力なライバル...(w)


でも、わたしとルーフィは気づいてなかった。


ここがお屋根の上で、静かな夜。

めぐのお部屋から、わたしたちの会話も

聞こえちゃったりする、って事...に。

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