第50話
..........遠くで声がする。
誰.....?
聞き覚えがあるような....。
僕は、どうしたんだ.....?
朧気に、眼を開くと
それは、僕の部屋の天井だった。
まるい、ドームの形の照明。
白く、高い天井。
カーテンは、グリーン。
「ほら、いいかげんに起きなさいよ!。」
聞き覚えのある、声だが....。
「薗子!?どうして!?ここに!?」
僕は、17歳の薗子がそこに居る事に
愕きを持って、しかし笑顔で。
17歳の薗子は、訝しげに僕を見
「アタマだいじょうぶ?雷に打たれて
ヘンになったんじゃないの?」
「薗子!本当に?...逢いたかったんだ。」
僕は、のほほんとしている薗子を、抱きしめた。思わず。
「キモーイ。~、なに?」
薗子は、するりと、僕の腕から逃げた。
......?
枕元に転がっていたスマート・フォンを見ると
僕の記憶にあった、昨日の朝の通話記録が
すっぽりと消えていた。
.....時空の歪みが、元に戻ったんだ....。
あの、雷鳴のようなエネルギーは、時空が激突して
起きたものだったんだ。
そして、ふたつの世界は、ひとつの3次元空間になった。
僕の記憶の中にだけ、その出来事の記憶は残る。
でも、もう、誰も覚えていない。
だから、僕はこうして記しておく。
「ふたりの薗子」のことを.....。
-終-
ふたりの薗子 深町珠 @shoofukamachi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます