第9話 9


僕は、部屋、....ここは、僕が借りているワン・ルームだ..。

の、玄関の傘立てを見た。


見慣れないベージュの、女もののシルエットの傘が立てかけてあった。



...?。。。。.....。まだ、夢を見ているのだろうか。

僕は、傘を握ってみた。見たことのない傘だが

でも、確かにここにある。

玄関には鍵が掛けてある......。






僕は、訳が分からなくなった.....。




次の日、やっぱり雨。

ベージュの不思議な傘を、部屋の中で開いて見た。

傘の柄の部分は、黒いプラスティックで釣り型になっていて

使い込まれたように、細かい傷がついている。



...やっぱり、イタズラじゃないみたいだな....。

第一、鍵の掛かっている部屋にどうやって入ってくると言うのだろう。


そう思い、僕は部屋を見回してみた。

別段変わった所はない.....ただ、雑然と放り投げてあった筈の洗濯物が、クローゼットに収納されていたり

埃っぽかったフローリングが、なんとなく掃除されていたように見えた。


...片づけた事を忘れてたのかな....。



僕は、そのくらいにしか思わなかった。

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