第4話 4


「はい、小さなパソコンのような機能があります。」



聞くと、文章が書けたり、インターネットが見れたりするらしい。

ネットは好きじゃないけれど、あると便利かもしれないなと僕はそう思った。



それで、その時そのショップに残っていたスマートフォンを、貰ってきた。


色は桜色だったが、このくらい華やかな方がいいかもしれないとも思った。



すぐに、キーボードを引き出しながら、両手の親指で適当に文字を入力してみた。


意外に簡単だし、スムーズに文章が書けた。

歩きながらそんな事をしていると、なんだかバカみたいなので止めて


駅の北側にある小さな公園のベンチに場所を求めた。



その公園は、ちょっとした森のように緑深く、古ぼけた蒸気機関車が置いてあるような、静かな場所だったから僕は、よくここで本を読んだりした。

いつもよく座る、銀杏の木の下のベンチに座る。一本だけある桜の木はまだちらほら、蕾が綻んでいるくらい。

黒い蒸気機関車と、桜色のコントラストは絵になるな、と僕は、スマート・フォンについているカメラで写真を撮った。

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