第3話 3


普通に「いらっしゃいませ」を聞けたので

それで嬉しくなったのもある。僕は、そのモバイル・フォン・ショップに

入っていった。


その声の主、30歳くらいの黒髪の似合う人だったけど

僕を子供扱いしたりするでもなく、にこやかに応対してくれたので

僕は、<\0>の内訳を聞いた。


「ほんとにタダなんですか?」


少し、試したかったのもあった。こんな事を言うと

大抵の店員が、あからさまに卑下した顔つきになるからだった。

でも、この人は違っていた。

丁寧に、その理由を話してくれた。

「本当は分割払い24回なのですが、キャンペーン中ですので私共でご提供させて頂きます。」


「つまり...2年は止められないの?」


「いいえ、その場合は、残金をお支払い頂ければ結構です。」




つまり、毎月払う通信料金がほしいと言う事らしい。


まあ、それはいいけれど....


僕は、その、携帯電話にスライド・キーボードが付いている機種が気になった。

僕の視線に気づき、その人は「あ、スマートフォンですね。」と言った。


「スマート?」


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