一匹狼が癇癪娘の為にホワイトデーのお返しをする話

あー、だる。

ダルすぎ。マジでだるいわ。

なんでさっきからお前着いてくるわけ?

ここ、俺の帰り道。

お前反対側だろ。なんで着いてくんだよ。


あぁ?

なんで私の帰り道知ってんのって?

……はぁ。それは別にどうでもいいじゃん。そんなことより何?なんでさっきから俺の跡ばかり着けてくるわけ?ストーカーなの?付きまといなの?やめて欲しいんだけど。

あ?

バレンタインのお返し?

あぁ、そういや先月そんなもの貰ったっけ?

めんどくさ。

なんで俺がわざわざお前なんかにお返ししなきゃならねぇんだよ。

はぁ?

本命チョコだったから返事が欲しいって、お前なぁ。手作りで頑張ったつもりなんだろうがGODIVAくれた方が100倍もマシだわ。素人風情が調子に乗って作った不格好な手作りチョコが俺の心掴むわけねぇだろ。身の程を弁えろよ。



あぁ、泣くなよ。

ったく面倒くせぇなぁ。

勘弁してくれよ。

何お前?なんなの?

俺の返事聞くために今日ずっとストーカーしてたんだろ?

朝からお返しする気の無い俺見て何も気づかなかったわけ?脈ナシだよ脈ナシ。

諦めてさっさと帰れ。

大好物の肉じゃがでも食ってろ。

はぁ?

なんで大好物知ってるのって……それは別にいいだろ。気にすんなよ。

ってかもういい加減泣きやめよ。お前何歳だよ。恥ずかしくないの?こんな道のど真ん中で涙ボロボロ零してさぁ。ほんとブス。

それでよく俺について来れたなぁ?

不釣り合いなんだよ不釣り合い。


ったく。

手出せ。

はぁ……。いいから手を出せって。

ほらよ。

俺の手作りクッキーだよ。

めっちゃ焦げちまったけど。

それ食って満足してろ。

あぁ?何お前ニヤついてんだよ気持ちわりぃ。

料理下手で悪かったな。

キッチン立つの初めてだったんだよ。

別にいいだろ気にしてんじゃねぇよ。


ったく。

お前のくれたチョコだけどさ。

あれは美味かったよ。

だから、俺の作ったクッキーじゃブサイクで不釣り合いなわけ。

分かったらさっさとどっか行けよ。

いつかお前に釣り合うお菓子作ってやるから。


あぁ?

告白の返事だ?

はぁ……。

そんなの先月言っただろ。

OKだよばーか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る