サイコドクターからのホワイトなお返し

助手君、ちょっとこちらへ。

君だよ、君君。

その深紅に染まった素敵なナース服を見事に着こなした私の可愛い助手。こちらへ来なさい。

そんなにおびえることはない。

何をそんなに恐れているんだい。今日は日曜日、神が定めし祝日じゃぁないか。ゆっくりと休みたいだろう?

まぁ、私たちのような逸れ者に休日なんてものはありはしないのだけれどもね!はっはっは。


こほん。

そんなことはどうだっていいんだ。

助手君、たしか君は先月私に素敵なバレンタインをくれたねえ。

硫化水銀が多量に含まれた手作りチョコ。あれにはかなり痺れたよ。

辰砂と呼ばれし賢者の石、始皇帝すら不老不死を求めてそれを口にしたとされる鉱石を私のためにとチョコレートに砕き入れるとは。君のことをもっと深く知りたくなった。


ということで、今日は特別に君のためにと素敵なホワイトデーのお返しを用意させてもらったんだ。

これを見てくれ。

ホットチョコレートにガトーショコラ、いちご大福に魔女の指クッキー。いろいろと用意したが、どれから食べたいかい?

もちろん、全部君に食べてほしいと思っているよ。これは私からの愛情表現だ。

ちなみに、この中の一つに君がくれた毒物と全く同じものを同じ量だけ含んだものがある。

それ以外すべてを食べることができるのであれば、きっと君は私のフィアンセだろう。

ほうら、全て食べてくれよ。

もちろん、毒物だけは避けてね。私としてもせっかく結婚できるチャンスだ。みすみす棒に振りたくはない。

お、いちご大福にするのかい?

是非是非食べてくれ。

一口でだ。一思いにだ。


ふっふっふ。実は先ほど実験用モルモットが一人お亡くなりになってねぇ。おかげでそれを作るために必要なイチゴが手に入ったばかりなんだよ。

おっと、吐き出さないでおくれ。まだゲームは始まったばかりじゃないか。


やはりイチゴは、生が一番おいしいだろう?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る