第88話 鬼道
『ズガガガガッ!』と激しい戦闘音が響き渡り、
それを見守るミラーズとらぶりんは険しい表情を浮かべて居た。
「ミ、ミラーズ様・・・。
卑弥呼が言っていたのですが、10分という時間に心当たりは?」
そう声を発しながららぶりんがミラーズの肩に乗ると、
不安げな表情を見せた。
「・・・10分。
それは貴女もわかっているのでしょ?」
「・・・はい。
で、ですが・・・私の知る卑弥呼はそんな事を言う人物ではなく、
傲慢で横暴がウリ・・・とも言える人ですから・・・。
だから突然そんな事を言うなんてって・・・」
「・・・そうね」
らぶりんの声にミラーズは言葉短くそう言うと、
未だダメージが残る腹部を押さえながら木にもたれかかり座り直した。
「・・・今はまだ善戦しているようには見えるけど、
彼女は生身・・・。
『鬼道使い』として名を馳せているヒミぞうでも、
冥界眼と肉弾戦をやるには、この亜空間では不利ね」
そう話すミラーズにらぶりんは『どうして・・・』と話を切り出した。
「・・・どうして『亜空間』での戦闘が不利になるのですか?」
実にシンプルな質問だった・・・。
そんならぶりんの問いにミラーズは少し肩を竦めると、
この地の空を見上げた・・・。
「貴女も見て体験したでしょ?
私が管理するこの地は物が腐らない・・・永久的に。
どうしてそのような事が起こるかと言うと、
この地に侵入した者から魔力や神力を少しずつ・・・吸い取っているの」
「は、はい・・・。
最初にこの地に訪れた時、いきなり力をごっそり取られました」
「でしょ?
そして魔力や神力などが無い者に対しては、
その生命力を少しずつ吸い取るの・・・。
そしてその吸収した力はこの地の力と成り蓄え、
今、この場に現存しているって訳なのよ・・・」
そう説明したミラーズにらぶりんは少し首を傾げると、
疑問に感じた事を口にした・・・。
「少しずつというのはわかりましたけど、
それがどうして卑弥呼は10分などと?」
再び疑問を口にしたらぶりんにミラーズは『ふぅ~』と、
軽く溜息を吐きながら答えた。
「・・・。
小さな力しか持たない者であるなら、
この地はその力を奪わない・・・。
そしてそれとは逆に大きな力を持つ者であれば・・・ね?」
「・・・ち、力が大きければ大きいほど、
吸い取られる力も多い・・・と?」
そう言いながらミラーズは視線を肩の上に乗り、
こちらを見上げているらぶりんへと移すと頷きながら微笑んで見せた。
「・・・でも卑弥呼の大きな力って、
あの『赤い霧』の事ですよね?」
「えぇ・・・。
『鬼道使い』であるヒミぞうの力は正直でたらめな強さ・・・。
『鬼の力』を借り彼女が得意な『術』へと変換し行使する・・・。
その大き過ぎる力にはリスクがあり、
通常の場合だと『術』を行使するにも時間がかかってしまのよ」
「そ、そんなに危険な力なのですか?」
「・・・かなり危険よ?
『鬼の力』を行使するというのは生半可な者では扱えないし、
少しでも・・・その力を見誤り『術』を発動してしまうと、
自分にもダメージが残ってしまうのよ」
「・・・そ、それほどとはっ!?」
ミラーズと卑弥呼の戦闘に視線を向けたらぶりんは、
激しい戦闘を繰り広げる卑弥呼をじっと見つめていた・・・。
一方、激しい戦闘を続ける卑弥呼と冥界眼は・・・。
『はぁぁぁぁっ!』
『シャッァァァァァッ!』
『ガシッ!シュッ!ブォンッ!』
両者は相手の攻撃を紙一重で躱し、反撃に打って出るが、
互いに決定打とはならず乱戦になっていた・・・。
『チッ!どうにもやりにくいわねっ!』と・・・。
舌打ちした卑弥呼は後方に飛んで着地すると、
額に浮かんだ汗を拭い取った・・・。
「ここまで乱戦となるなんてね~?
あの坊やのポテンシャルは本物って事ね・・・」
そう呟く卑弥呼を他所に、その視線の先を見据える冥界眼は、
首を傾げながら拳を突き出し、一人で暴れ回り始めた。
(・・・あ、あいつ・・・何をっ!?)
驚き目を細める卑弥呼は警戒を強めるが、
冥界眼のその行動に『まさか・・・』と声を漏らした。
「ま、まさか、あの目玉野郎・・・。
私の攻撃をトレースしているっ!?」
拳を繰り出し蹴りを放つ冥界眼に、
卑弥呼は『チッ!面倒なヤツめっ!』と声を発しながら駆け出した。
『うぉぉぉぉぉっ!』
『っ!?』
突然声を挙げながら突っ込んで来た卑弥呼に、
冥界眼は驚きつつも身構えて見せた。
(やはりこいつはっ!?)
卑弥呼は左右にフェイントを織り交ぜながら距離を詰め、
冥界眼が卑弥呼を捉えられないように動いた・・・。
『はぁぁっ!』
『シュッ!ブワッ!シュッ!』
卑弥呼の鋭く打ち出された拳が冥界眼の耳を掠めるも、
その連続攻撃がヒットする事はなかった。
だが・・・。
(余り長引かせたくはないねーっ!)
鋭い視線が冥界眼を捉えると『ここだぁぁぁっ!』と、
突然雄叫びのような声を挙げた。
それと同時に卑弥呼の左手は左のふとももにある『虎のタトゥー』に触れると、
その虎のタトゥーが淡い黄色の光を放った。
『うらぁぁぁっ!』
気合いの雄叫びを挙げた卑弥呼の右拳が黄色い光を纏うと、
速度を増したその拳が冥界眼の左脇腹を掠めた・・・。
『シュバッ!』
『グギィィィッ!』
その卑弥呼の速度に驚いた表情を浮かべた冥界眼は、
ためらう事無く後方に離脱し着地すると、
『ビシッ!』と音を立てて冥界眼の左脇腹附近の服が斬り裂かれたのだった。
冥界眼は脇腹の状態に驚き手を添えながら、
視線を卑弥呼へと向けると、
『フンッ!』と鼻息荒くする卑弥呼がドヤ顔を見せていた。
『グギギギギ・・・』
「・・・おやおや、何だい?
先程までとは違って、偉く悔しそうな顔をしているじゃないか?」
『・・・グググギ』
「・・・ほんの少し、この卑弥呼様の力を見せただけだが・・・
目玉野郎にはちいーとばっかり・・・荷が重かったかね~?」
『グググググ・・・』
卑弥呼の挑発に冥界眼は低く唸りながら距離を取ると、
透かさず卑弥呼は攻撃に出た。
『おらおらっ!まだまだ行くよぉぉぉっ!』
冥界眼の動きに合わせて攻撃に転じた卑弥呼は、
今度は左肩に在る『花のタトゥー』に手を触れた。
『ポゥ』っと淡い赤色が光った瞬間右手の指先に光が集約し、
その赤く光った指先で空中に『文字』を書いて見せながら声を挙げた。
『鬼道・書式展開・百花繚乱っ!』
『華』と言う文字が宙に描かれると、
その文字の周りを幾つもの幾何学模様が展開し、
卑弥呼が言い終わると同時に赤く光ったその模様から、
無数の『赤い花びらの弾丸』が発射された・・・。
『シュバシュバシュバシュバッ!』
独特な発射音を放ちながら打ち出される攻撃に、
冥界眼は必死の形相で捌き・・・弾き・・・躱していった。
だが卑弥呼はそれを静観しておらず、
移動しながら続け様に攻撃に出た・・・。
左手の親指を自分の歯で切り裂きながら、
懐から取り出した黒い短冊に親指から流れる血液を押し付けた。
『鬼道・呪符展開・
そう声を挙げながら黒い短冊を投げつけると、
その『呪符』は数匹の『燕』に姿を変えた・・・。
『ピィーッ!』と鳴きながら出現した『燕』は、
未だ『華の弾丸』に悪戦苦闘する冥界眼の元へと一直線に飛んで行った。
迫る数匹の『燕』に気付いた冥界眼は、
攻撃を躱しながら紫色の光球を放つも、その攻撃は呆気もなく『燕』に躱された。
『ピィー』と再び声を挙げた数匹の『燕』は、
各々別のルートで接近し、冥界眼の身体に接触すると、
『ドドーンッ!』とそれぞれが大爆発を起こし、
冥界眼の四肢がバラバラに飛び散るのを見て取れたのだった・・・。
卑弥呼と冥界眼が戦闘を繰り広げる中、それを見守る事しか出来ないらぶりんは、
卑弥呼の異質な戦い方に驚き固まっていた・・・。
(・・・は、初めて卑弥呼の戦闘を見たけど、
しょ、正直異質過ぎて・・・な、何と言っていいか・・・)
唖然とするらぶりんにミラーズは静かに話し出した・・・。
「その様子だと、かなり驚いているようね?」
「・・・えっ?
え、えっと・・・は、はい、そう・・・ですね。
私を創造してくれた人が、まさかこんな戦い方するなんて・・・。
わ、私が今まで見たあの人の戦闘は実に単純明快で、
その場の勢いとぶっつけで力で押して行く・・・。
それがあの人の戦い方なんだと、そう思っていました。
し、しかし・・・実際は違っていました・・・。
『術』というのモノはよくわかりませんが、
魔法に似たモノであるのは理解出来ますが、
でも『鬼道』と言うモノは・・・知りませんでした。
少しの間とは言え、一緒に居たにも関らず一度も『鬼道』を見た事はありません」
らぶりんはその脳裏に卑弥呼と過ごした日々を思い起こしながらそう話すと、
苦笑しながら言葉を付け加えた・・・。
「傲慢で野蛮で酒と煙草・・・
それと賭博が好きな方で、地下牢に居るにも関らず、
イザナミ様とよく牢獄の中で宴会ばかりしていました。
そんな人が・・・あはは・・・。
自分の目で見ている出来事が未だに信じられませんよ・・・」
「ふふふ♪
彼女には自分のルールが何に置いても正しく、
それを決して曲げない・・・。
そんな女なのよ♪」
「・・・あははは。
そうですね・・・それはよく分かりますよ♪」
その前脚で小さな頭を掻きながらそう言うと、
らぶりんは改めてミラーズに尋ねた。
「ミラーズ様?
卑弥呼の使う『鬼道』って一体どういうモノなのですか?」
そう尋ねるらぶりんにミラーズは『そうね・・・』と、
呟くように言いながら『長くなるわよ?』と続けてそう言った。
それを了承したらぶりんにミラーズは話し始めた。
「鬼道・・・。
それはまだ彼女が人族の世界で生きていた時、
『鬼』の襲来で国が一度壊滅した時にまで遡るわ・・・」
「お、鬼の襲来っ!?」
「えぇ、卑弥呼の話では・・・。
当時彼女はまだ若く、ほぼ一般の民として暮らしていたらしいわ。
そして或る日・・・街の上空に歪が出来、
その歪の中から『鬼』が50体ほどやって来たらしいの」
「ご、50・・・体っ!?」
国の戦士達が集結し幾度となく戦いを挑むも、
『鬼』と『人』では余りに違い過ぎて、成す統べなく・・・ね。
『鬼』は国の大半の人を虐殺した・・・。
だけど運よく・・・。
いえ、繁殖の為にだけ一定数の若い男女と子供達を残した。
そして彼女・・・卑弥呼は繁殖の為に生かされた1人だった・・・」
「・・・・・」
「無力な彼女はその『鬼のリーダー』に犯され、
或る日、自害しようと川辺に居た時、
それを阻止しようとしたその『鬼』が現れ連れ戻そうとした。
その時、突然上空の空間が歪むと、
その中から5体の『鬼』が現れ、同族である『鬼』を殺した」
そう話すミラーズにらぶりんは『同族をですかっ!?』と驚いているようだった。
興奮気味にそう言ったらぶりんに、ミラーズは話を続けて行った。
「えぇ・・・。
彼女は殺されるのを覚悟していたようだったけど、
そうはならなかった・・・。
それどころか、彼女の怪我を治癒してくれたらしいの。
その時にね・・・。
卑弥呼のお腹の中に宿りつつある命に気付き、
その助けてくれた『鬼』はこう尋ねたらしいわ。
『・・・人が鬼を身籠ると肉体がもたず死ぬ」と・・・ね。
それを回避する事は出来ないと言われ、絶望の淵に居た時、
その『鬼』はこう言ったらしいの。
『運が良かったな?』と・・・」
「・・・運、ですか?」
「えぇ、その『鬼』は自分の小指を1つ切り取ると、
『術』を使い1つの『赤い勾玉』になった。
その『赤い勾玉』を身体に埋め込む事によって、
身籠る事を回避出来ると・・・」
「で、では卑弥呼はそのおかげで?」
「・・・でもね、それには1つ問題があったの」
「問題ですか?」
ミラーズはらぶりんの声に小さく頷くと、
哀し気な表情になりこう言った・・・。
「これを体内に宿せば、その力によって子を身籠れぬ・・・ってね?」
「・・・えっ?」
「彼女は迷う事無く決断すると、『鬼』は『わかった』と言うと、
彼女をその場で寝かせ、『赤い勾玉』を持った手を置くと、
腹の中にその『赤い勾玉』を埋め込んだのよ」
「・・・うぅぅ。話を聞いているだけでも辛そうな」
「そして処置が終わり引き抜いた『鬼』の手には、
・・・彼女の子宮が」
「・・・・・」
「何でも『鬼』の力が強過ぎて、
そのまま子宮を残して置くと、腐ってしまうらしいの。
そうならない為に取り出したらしいのよね。
でもまぁ~、そのおかげで・・・。
彼女は死ぬ事はなくなったのだけれど、
『赤い勾玉』を埋め込まれてから1ヶ月ほど、
その『鬼の力』の影響で1ヶ月以上も藻掻き苦しんだんだけどね♪」
そう話し終えたミラーズにらぶりんは納得した様子を見せ、
小声で『い、1ヶ月以上も・・・そ、そうなのですね』と身体を硬直させていた。
それにミラーズは沈黙したまま頷くと、
らぶりんは哀し気な表情を見せるミラーズにこう言った。
「・・・その『赤い勾玉』が、あの人の力となっていると?」
「・・・えぇ、彼女は藻掻き苦しむ中、
その膨大で強力な力を自分の力と出来ないか試行錯誤し、
『鬼道』と言う『術』を会得したのよ。
自分の『命』を・・・賭けてね」
ミラーズとらぶりんは再び視線を卑弥呼と冥界眼に戻すと、
戦いの行く末を見守るのだった・・・。
そして卑弥呼と冥界眼は・・・。
卑弥呼の攻撃によって四肢が四散した冥界眼は、
胴体部分と頭を残し、地面に倒れていたのだった・・・。
その様子を離れた場所で見ていた卑弥呼は、
『それで終わりなのかっ!』と怒声を発し挑発したのだった。
何故なら卑弥呼には考えている事があった。
(・・・あの小僧の肉体を取り戻すには、
目玉野郎の力を・・・。
冥界の神力を消費させるしかない・・・。
だけど今、ここで追撃してしまったら、
そのダメージにより小僧の肉体は破滅するかもしれない。
チッ!どうにもまどろっこしくて面倒臭せーなっ!
でも、今はこうやって行くしか・・・)
それから暫くして卑弥呼は挑発を繰り返すと、
冥界眼は力を消費し身体の四肢を復活させたのだが、
それは誰が見ても明らかであろう冥界眼の疲労が見て取れたのだった。
フラフラとしながらも立ち上がった冥界眼に卑弥呼は口を開いた。
「おやおや・・・目玉野郎。
四肢を再生させるのにどれだけかかってんだ・・・あぁ~ん?
折角この卑弥呼様が相手してやってんだ。
ちゃっちゃと再生してくれねーと、ぶっ殺すぞ?」
「グギギギィ・・・」
「ほ~・・・悔しいのかい?
てめーみてーな三下目玉野郎風情がっ!
この卑弥呼様に勝てる訳ねーだろうがぁっ!」
卑弥呼がそう怒声を発した瞬間・・・。
『グガァァァァッ!』と吠えた冥界眼は膨大な神力を放出した。
(なっ!?ま、まだそんな力が残っているのかっ!?
・・・有り得ない、こいつは底なしなのかっ!?
本来ならそろそろ冥界眼の力は枯れるはずだ・・・
一体何だっ!?何なのだっ!?
この冥界眼はっ!?)
驚きを通り越してその回復力と神力量に驚愕する卑弥呼に、
冥界眼は『ニヤ~』と下卑た笑みを浮かべた。
「チッ!・・・ほんとに厄介な事この上ねーなっ!」
舌打ちし嫌悪感を露にした卑弥呼は構えながら考えていた。
(・・・目玉野郎の神力量は完全に私の予想を越えている。
想定外もいいところだ・・・。
このまま持久戦に持ち込まれたら、私の方が先に・・・。
こうなったら・・・やはり短期決戦で『纏い』を・・・)
卑弥呼は再び『チッ!』と舌打ちをすると、
両足を大きく開き中腰になると怒りの形相を浮かべながら吠えた。
『やってやんぜ・・・この目玉野郎っ!
この卑弥呼様のとっておき・・・見せてやんよっ!』
そう吠えた卑弥呼の身体からは赤銅色の気が溢れ、
『ゴゴゴゴゴッ!』と地面が揺らぎ始めた・・・。
「・・・鬼道の神髄、その紫の目ん玉に刻みつけろっ!
行くぜ・・・」
卑弥呼の全身の筋肉が盛り上がり『ガゴンッ!』と、
その足元が地面を踏み抜くのと同時に駆け出した・・・。
そして大きく開いた胸元で『印』を数回結ぶと、
卑弥呼は冥界眼に蹴りを放ちながら気合いの入った声を張り上げた。
『鬼道・奥義っ!鬼神伝心鬼纏いっ!』
『バシュッ!』
蹴りを放ち振り向いた瞬間・・・。
卑弥呼の身体から真っ赤な鬼の気が噴き出し、
それと同時に身体が一回り大きくなった・・・。
『はぁぁぁぁぁぁっ!』
『っ!?』
驚く冥界眼は本能的に危険を察知すると、
後方に飛びながら無数の『光弾』を撃ち込み始めた。
『ドドーンッ!』と卑弥呼に直撃した『光弾』が激しい爆発を起こし、
着地した冥界眼は『グゲゲゲ』と下卑た笑い声を発した。
凄まじい爆発により無数の土砂が広範囲に散らばり、
その威力にミラーズ達が険しい表情を見せていると・・・。
『・・・ハッハッハッ!
この程度でこの卑弥呼様が殺れるとでも思ったのかい?
実におめでたい目玉野郎だな・・・』
『グゲッ!?』
『はぁぁっ!』と気合いを放った卑弥呼の衝撃波は、
土煙りを吹き飛ばし、その威力に流石の冥界眼も驚きを隠せないようだった。
『・・・グゴゴ?』
『何故・・・?』とでも言いたいのか、
冥界眼の顔を盛大に引き攣らせ小刻みに身体を震わせて居た。
土煙りの中から姿を現した卑弥呼は顏の前で腕をクロスにし、
冥界眼の攻撃から身を守っていたのだった。
そしてその態勢から両腕を降ろした瞬間・・・。
冥界眼とらぶりんは驚きの余り言葉を失った。
そんな光景を見たミラーズは固まるらぶりんにこう言った・・・。
『・・・100%。
卑弥呼のあの姿を見たのは、いつぶりかしらね?』
そう楽し気に話すミラーズに、
らぶりんはその顔を見上げるしかなかったのだった・・・。
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