第42話 紐
ブランブラン
あたしの目の前に紐がぶら下がっている
ブランブランブラン
その紐には色がついている
ブランブランブランブラン
その紐は風に吹かれたように揺れている
ブランブランブランブランブラン
何だかその紐は数が増えているように見える
ブランブランブランブランブランブラン
間違いない数が増えている
ブランブランブランブランブランブランブラン
紐の数が7本になった
「その紐を引いてみなさい」
誰かの声がする
「紐を引くってどういう事?」
あたしの質問には答えない
「アナタの前に7本の紐があるでしょう」
確かにあたしの目の前には7色に塗られた7本の紐がある
「紐を引くとどうなるの?」
やはり答えはない
「紐を引かないとどうなるの?」
含み笑いのような声がする
「アナタは永遠に此処から出られない」
あたしはまた質問をする
「何色の紐を引けば良いの?」
その声は含み笑いから冷たい声に変わった
「アナタの嫌いな色を引けば良い」
あたしは目をつむって1本の紐を引いた
その日
あたしの家で飼っていた柴犬が死んだ
つづく
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