第10話 侍女が死んだ

 アリーヤ様付きの侍女が、物盗りに殺された。


 今はみんな色んなことに不安を抱いていて、それ自体は悲しいとは思わなかったけど、一つだけあの人が死んで気になる事があった。


 アリーヤ様の結婚式の数日前に、散々、妹さんからの手紙が届いているって伝えたのに、下位貴族である私の話なんか聞いてくれなかった。


 アレはどうなったんだろう。


 妹さんは風邪で式に参列できなかったって聞いたけど、本当なのかな?


 妹さんからの連絡が途絶えたと悲しんでいるアリーヤ様が可哀想だ。


 嫌な人だったけど、せめて自分の責務は全うしてほしかった。


 私の責任になったら嫌だから手紙の存在は言わないけど、あれに何が書かれていたのかな。


 降る雨の激しさは増すばかりで、王都が水浸しになる勢いだ。


 アリーヤ様のお祈りが始まれば、これも鎮まるのかな。


 王太子御夫妻は、まだ部屋で過ごされているそうだ。


 一般に開放された聖堂には、祈りを捧げる人々でごった返している。


 みんな不安そうな顔をしていた。


 もう、大変な規模の災害が起きていて、周辺の被害は甚大だと聞いた。


 聖女様は、のんびり王宮にこもっていていいのかな。


 まぁ、王都が災害に見舞われることなんかないから、しばらくは大丈夫か。











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