妹の願望
「兄さ……んん、んちゅ……」
お風呂から上がって時刻は二十三時前、瑠菜はベッドの上で最愛の兄である蒼とキスをしていた。
寝る前には相応しくないほどの積極的なキスで、すぐさま瑠菜は蕩けた表情になる。
このまま初めてを迎えてしまいそうなキスだが、蕩けるくらいに気持ち良く止めようと思わない。
むしろもっと蒼を求めたい自分がいる。
「デートもキスもしたのだし、もう付き合ってると思っていいよね?」
「え……?」
蒼の言葉に瑠菜は目を見開いて驚く。
兄妹として愛してくれるのは普段の言動を見ていれば分かるが、まさか異性として見られているとは思ってもいなかったからだ。
今までにいなくらいに積極的にキスをしている蒼を見て、瑠菜はとてもじゃないが驚きを隠せないくらいに動揺した。
「どうしたの? まさか俺とのデートやキスは遊びなのか?」
シスコンの蒼にはあり得ないくらいに軽蔑の視線を向けられた。
ずっと愛しているや世界一美しいと言う蒼からしたら、瑠菜に白い目で見るのは普段の言動からしたら考えられないことだ。
「そ、そんなことありません。兄さん以外の人には触れられたくもないですもん」
瑠菜が本心を告げると、蒼は「良かった」と嬉しそうに笑みを浮かべてくれた。
「私は兄さんの彼女になりたいと、思っています」
恥ずかしくて身体が熱くなっているのを感じるが、瑠菜は付き合ってもいいことを告げる。
義理の兄妹であっても蒼から離れたくないと思ったし、付き合いたいと考えたことがないわけではない。
むしろずっと一緒にいれるのであれば、彼氏彼女の関係になってもいい、と思っていたくらいだ。
「じゃあ俺たちは付き合うでいいね?」
「はい」
付き合えたことに嬉しくなり、瑠菜は最愛の蒼の胸に顔を埋める。
彼氏彼女の関係になれた、ということは、蒼を美波に奪われる心配がないし、これからはもっと濃厚なイチャイチャが出来るのだから嬉しくないわけがない。
「えへへ。兄さん」
胸に頬を押し付けて自分の匂いを付けていく。
「そんなくっつかれると襲いたくなる」
「あ……」
くっつかれたからか、蒼は興奮してしかったかのように瑠菜をベッドに押して覆い被さる。
このままいけば瑠菜の初めては蒼に捧げることになるだろう。
「いい、ですよ……兄さんに私の全てを貰ってほしいです」
蒼が喜んでくれるのであれば、瑠菜は抱かれてもいいと思っている。
「分かった。もう止められないから」
「はい。来てください」
恥ずかしい気持ちはあるが、瑠菜は抱かれるためにゆっくりと瞼を閉じた。
「……はっ?」
これから蒼と身体を重ねると思った瞬間に、瑠菜は瞼を開ける。
部屋の電気は消えており、隣には瑠菜を抱き締めて寝ている蒼の姿があった。
訳が分からず頭の中にはてなマークが浮かぶと共に、自分の身体が熱くなっていくのを感じる。
「もしかして……夢?」
まだ若干こんがらがっているが、今までのことが夢だと察した。
重度のシスコンであったとしても蒼は瑠菜を異性として見ていないだろうし、あんな積極的なキスはしてこないだろう。
もちろんデートやキスしたことは夢ではないが、まさか付き合って身体を重ねようとする夢を見るとは思ってもいなかった。
「えへへぇ、瑠菜は、世界で一番、美しい……」
寝ている蒼は平常心らしく、いつも通り寝言を言っている。
「私は兄さんと付き合いたいと思っている……?」
あんな夢を見てしまったのだし、心の奥底では彼氏彼女の関係になりたいと思っているのだろう。
今までブラコンだと自覚しつつも恋愛対象として見たことはなかったので、一緒にねるようになって気持ちが変わったのかもしれない。
最早瑠菜の頭の中は夢の続きである抱かれることでいっぱいだ。
「私は兄さんのことが好きで好きでしょうがないみたいです」
寝ている蒼の耳元で優しく呟く。
あんな夢を見てしまったのだし、もう瑠菜は蒼を異性として好きになってしまっている。
夢と同じように付き合いたいし、夢の続きである初めてを捧げたいとすら考えてしまうほどだ。
「兄さん、愛してますよ」
軽く口づけをし、瑠菜は寝るために瞼を閉じた。
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