いっぱいキス
「あ……兄さん」
病院で輸血を受けて元気になった蒼は、帰ってきて早々にリビングで瑠菜のおでこにキスをした。
キスされたことにより嬉しくなったのか、瑠菜は甘い声をだして目を細める。
ギュッと肩を抱いて彼女を引き寄せ、キスをしながらたっぷりと瑠菜の気持ちいい感触を味わう。
「兄さんから来ると力が抜けないし、鼻血も出ませんね」
「今まで何度俺から抱きついてきたと思っている?」
義理の兄妹になってから何年も蒼から抱きついていたし、これからもこちらから瑠菜を抱きつくことが多くなるのは間違いない。
最近は瑠菜からもくるが、やはり抱きつくのは蒼からの方が多いのだ。
「そうですね。キモいくらい過剰に抱きついてきますからね」
どこでも抱きついてくる蒼を想像したのか、瑠菜は苦笑した。
蒼は瑠菜相手にはどこまでも一途で、この先も想い続けるのは間違いないだろう。
「ブラコン、ヤンデレって言った割には辛辣な時あるよな」
以前より大分マシになったとはいえ、時々は前みたいに白い目をした瑠菜の辛辣な言葉が胸に突き刺さる。
若干トゲがなくなっているような気はするが、どんなにデレが入ってもキモいと思ったらハッキリと言ってしまうようだ。
こうでもしないとどこでもいつでもくっついてしまうからなのかもしいれない。
今は瑠菜自身がブラコンだとハッキリと宣言したのだし、もう少し辛辣な言葉を控えてくれると嬉しく思う。
「兄さんがキモいからですよ」
辛辣な言葉を告げながらも、瑠菜は笑みを浮かべて指で蒼の頬をツンツン、と軽くつつく。
ただ、以前はキモいと思っていたが、今はその過剰なまでのシスコンさに感謝している、といった感じだ。
「こうなったら俺からいっぱいキスして瑠菜の力を抜かしてやる」
「え? んん……」
キモい言ってきたお返しと言わんばかりに、蒼は瑠菜の唇を己の唇で塞ぐ。
軽く唇を甘噛みするようなキスをし、ひたすら瑠菜の身体の力を抜けさせるためにキスをする。
でも、うっとりとした表情になっていくのにも関わらず、瑠菜の身体から力が抜ける気配はない。
むしろ離れたくないからか力を入れて抱きついてきたため、この程度のキスでは身体の力が抜けることはないようだ。
「どうやったら力が抜けるんだ?」
「どうでしょうね」
ふふ、と小悪魔な笑みを浮かべた瑠菜の身体から力を抜くためには、どうやらもっとキスをする必要があるらしい。
今まで頬やおでこ、首筋、唇にキスをしてきたが、一番効果がありそうな唇では限度があるようだ。
どこにすれば力が抜けるか分からず、蒼は自分の顎に指を当てて考える。
自分ばっかり力が抜けて甘やかされているし、今日くらいは瑠菜の身体から力を抜かして甘えさせてあげたい。
一番の理由は力が抜けた瑠菜を好きにしてみたいというのだが。
「普通は兄さんのように嬉しすぎて力が抜けることはないんですけどね」
「くう……何としてでも力を抜かしたい」
「そんなになんですね。ちょっと待っててください」
何か思ったことがあるのか、そう言った瑠菜はリビングから離れて自室に向かった。
☆ ☆ ☆
「お待たせ……しました」
十分ほどたち、瑠菜がリビングに戻ってきた。
先ほどのワンピースと黒タイツとは違い胸元が空いたティーシャツにミニスカートという、いくら紫外線が入ってこない家であっても、普段の瑠菜からしたら考えられないくらいの露出度が多い格好だ。
ここまで露出が多い格好をしないからか相当恥ずかしいようで、瑠菜は茹でダコのように耳まで真っ赤にしている。
昨日のデートより露出度が高めなので、恥ずかしいのは当たり前だろう。
「兄さんになら、どこにでもキスをされても大丈夫なので……力が抜けるように頑張って、キスしてくだ、さい」
ソファーに座っている蒼の隣に腰かけた瑠菜が、耳元で甘い言葉を囁いてきた。
これだけで力が抜けてもおかしくないほどの破壊力を持っていたが、慣れてきたから何とか気力で耐えることが出来た。
甘い言葉を少し囁かれた程度であれば、もう我慢するのが可能なようだ。
「じゃあするぞ」
「はい。あ……」
頷いた瑠菜の肩を掴み、今までしたことがない鎖骨にキスをした。
皮膚のすぐ側に骨があるから硬いが、鎖骨を甘噛みするようにキスをしていく。
流石に鎖骨では力が抜けないようで、瑠菜を見ると嬉しそうだけどいつも通りだ。
「次は……」
蒼は先ほどから当たっている二つの果実を見る。
とても柔らかそうで、男であれば大抵の者は視線を奪われてしまう代物だ。
「いいですよ?」
上目遣いで見つめる瑠菜から了承が取れたため、蒼は瑠菜の谷間にキスをする。
他の箇所とは違ってむにゅう、と唇が沈み込むような感触を覚えるが、瑠菜の力を抜かすために止めない。
「ここも無理か……」
鎖骨よりかは敏感なようだが、力が抜けるにはまだ足りないようだ。
「まあ、兄さんみたいに力が抜ける人なんていませんよ」
結果は分かり切っていたようで、「ふふ」と不敵な笑みを浮かべた瑠菜がこちらを見つめた。
何でだ? と思いながら頭を抱え、優しく頭を撫でてくれる瑠菜を見る。
「やはり兄さんは私に力を抜けられる運命なのですね。んん……」
いきなりねっとりと濃厚なキスをされたため、蒼は力が抜けてソファーに倒れ込んだのだった。
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