妹の異常な愛情
無事に初デートが終わり、家に着いてお風呂でサッパリとした後、蒼は瑠菜とベッドの上で抱き合っていた。
これ以上ないくらいに密着しているため、瑠菜の柔らかで温かい感触が伝わってくる。
この感触を味わえるだけでも幸せだ。
「えへへ。兄さんとキスしちゃいましたね」
「そうだな」
遊園地から帰って来ても瑠菜の口元は緩んでおり、キスを出来て相当嬉しかったのが分かる。
家ではブラコンを全面に出してきているので、大好きな兄との口付けがかなり良かったのだろう。
キスをしたことを思いだし、自然と瑠菜の唇に視線が向く。
「またしませんか?」
甘えたような声で瑠菜はキスのおねだりをしてきた。
「あんまりするとまた鼻血が出るかもしれない」
ここ最近は少し慣れてきたが、一日に何度もキスをすると嬉しすぎて力が抜けるどころか鼻血が出てもおかしくないのだ。
本当はいっぱいキスしたい気持ちがあり、今すぐにでも瑠菜の唇を奪ってしまいたい。
でも、キスをし過ぎて鼻血を出してしまうと迷惑をかけてしまうし、ある程度自重した方がいいだろう。
観覧車ではお互いにファーストキスで軽く触れ合う程度だったから数分力が抜ける程度で済んだが、二度三度としたら濃厚になっていって鼻血が出るだろう。
流石に観覧車で鼻血を出すわけにはいかないと思ったのもあるかもしれないが。
「やあです」
「……え?」
思いもよらない言葉に、湊は驚いて声を出す。
「私はブラコンのヤンデレなので、兄さんとキスが出来ないのは我慢出来そうにありません」
「瑠菜?」
ブラコンなのは分かっていたが、まさかヤンデレと言うなんて予想もしていなかった。
ヤンデレとは好きな人に尽くしたくてしょうがない、交際相手に異常な愛情を見せてくれる人のことを言う。
異常なまでに相手に依存し、何をしてでも好きな人の側から離れることがない。
少しではあるが、瑠菜の赤い瞳から光が失っているような気がする。
「兄さんとのキスは今までにないくらいの幸せでした。それは兄さんもですよね?」
「ああ」
目から光を失いつつある瑠菜の質問に肯定をする。
「ブラコンのヤンデレは兄さんに喜んでもらいたい……キスで凄い幸せになったならしてあげたいんです」
「いや、鼻血が出たらどうするの?」
どんどん瞳から光が無くなっていく瑠菜に再び質問をした。
以前のように勢い良く鼻血を出してしまっては、ベッドの白いシーツが赤く染まってしまう。
シーツの予備は何枚かあるが、鼻血が出て何度も替えるのは良くないだろう。
「鼻血が出たら他のどんなことを差し置いてでも優先して兄さんの看病をします。それに私は兄さんの血なら飲めます。だから少しくらいなら問題なしです」
完全に瞳から光が失って当たり前のようにあり得ないことを言う瑠菜は、異常な愛情の持ち主だった。
確かに完全にヤンデレで、一緒に寝るようになってブラコンやヤンデレが少しずつ面に出だし、観覧車のキスで完全解放してしまったのだろう。
いくらヤンデレでも好きな人の血を飲める人など中々いないし、その自信がどこからくるのか不思議だ。
「そうか。何度もは出来なくても一回のキスだったら出来るのか、じゃあキスをしようか」
異常な愛情であっても妹に愛されるのは嬉しいことなので、蒼は瑠菜の頬に手を這わす。
これからキスをすると分かったようで、「あ……」と甘い声を出した瑠菜はゆっくりと瞳を閉じる。
「んん……」
観覧車の時に続いて二度目のキスは、初めての時より瑠菜の唇の感触を感じられた。
だけどすぐに唇から離すことがなかったため、嬉しさで蒼は身体から力が抜ける。
「力が抜けちゃえば私のし放題ですね。たっぷりと兄さんの欲求を満たしてあげますね。んちゅうぅぅぅ」
再びキスをした瞬間、蒼の鼻から血が吹き出す。
念のために増血剤を処方してもらって正解だったと思わずにはいられなかった。
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