ラノベでイチャイチャ

「うう~、兄さんがラノベばっか読んでイチャイチャしてくれません」


 本屋から帰って来てラノベを読み始めたのはいいが、何故か頬を膨らました瑠菜が嫉妬の視線を向けてくる。

 週末のデートのためにリビングのソファーに座りながら読んでいるだけだが、イチャイチャ出来ないのが瑠菜には嫌らしい。

 ラノベ読むよりイチャイチャして、と思っていそうな顔だ。


「ほら、おいで」


 ポンポン、と自分の太ももを軽く叩くと、嬉しそうに笑みを浮かべた瑠菜が蒼の膝の上に座った。

 今回は以前とは違って瑠菜は蒼に対して背中を向けて座っているので、対面座位ではない。


「一度俺の上に座ったら、瑠菜の意思で離れることは出来ない」


 ギュっと後ろから抱き締めて逃がすつもりがないのを耳元で伝えると、笑みを浮かべならが「はい」と瑠菜は頷く。

 この体勢では読みにくくなってしまうが、最愛の妹が寂しそうにされるよりはずっといい。

 それにデートまでは数日あるため、今すぐに読まなくても問題はないだろう。

 明日学校に持って行って休み時間に読んだりすれば、きっと明日中には読み終わる。


「瑠菜の髪に埋もれてみたい」


 限りなく白に近い銀髪を手に持つ。

 蒼は瑠菜の髪が一番好きだと言っていいため、一度でいいから銀髪を身体に巻いてみたいと思っている。


「兄さんはブラコンの私でも理解出来ないようなことを言いますね」


 ドン引きしているようだが、瑠菜は決して離れようとはせず、むしろ胸元に背中を密着させてきた。

 男のと違って女の子は背中が柔らかく、病み付きになってしまってもおかしくないほどだ。

 いや、瑠菜に関することなら何でも病み付きになってしまうだろうし、それくらい蒼は彼女に依存してしまっている。

 もう一生離れることが出来ない、と実感してしまうほどに。


「俺の愛は理解出来ないほど重い」


 最早ヤンデレの域に到達していると言ってもいいかもしれない。

 何があっても離れることなど出来るわけがないし、一緒にいれなくなると考えただけでも気が滅入る。


「そうですか」

「クール過ぎる……」


 自分の気持ちを正直に言った蒼であるが、瑠菜は適当に返事をしただけだった。

 甘えながもクール……やはり基本的に瑠菜はクーデレと言える。


「触るだけならまだしも、流石に髪に埋もれたいというのはちょっと……」


 何を言われても離れることはないが、容認出来ないのもある……そう思っていそうな顔だ。

 家でならどんなお願いでも断らない、と言っていた気がするのだが、やはり無理なお願いもあるということだろう。


「ヨダレはつけないようにするぞ」

「そういう問題ではありません」


 全くもう……と呟いた瑠菜は盛大なため息をつく。

 髪を身体に巻きたい、と言う人が目の前にいたら確かにドン引きするだろう。


「じゃあ膝枕は?」

「それなら問題ないですよ」


 もう何度かしているし、膝枕は問題ないようだ。

 ただ、いつもは蒼が瑠菜の太ももを枕にするのだが、今日は瑠菜が蒼の太ももを枕にした。


「えへへ。兄さんの膝枕」


 笑みを浮かべた瑠菜は、膝枕を堪能しているようだ。

 この体勢ならラノベを読むことが出来るので、蒼は続きから読み出す。


「兄さん、ずっと一緒です」

「ああ」


 永遠に離れない約束をし、蒼は集中してラノベを読んだ。

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