宿命と冒険者

第41話 宿命と冒険者 1-0.5

* * * * *


――て――――い――――――。


声が聞こえた。

ずっとずっと遠く、真っ暗な闇の果てから声が。

上も下も右も左も、手も足も頭も体も、何もない。何も分からない。

ただ意識という曖昧なものだけがそんな“場”に浮かび、そして存在しない流れの中を漂っている。

ここは何処だろう?

本質的にそれは意味のない疑問である。

しかし形を失ってなお思考の残滓は活動を続けていた。


『ごめんなさい。』


ハッキリ聞こえた。

しかし先ほどとは違う場所から。

意識は声へと向かって進んでいく。

まるで光を見つけた虫のように、神に縋る哀れな信徒たちのように。

輝きが、無いはずの瞼を突き抜けていった。

手が、足が、体が、頭が、次々に光に照らされて姿を現す。


『私の声が聞こえますか?』


呼ぶ声が聞こえる。

声が呼んでいる。

行かなければならない。


「――要望を受諾します。」


* * * * *

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