第7話 王都デビュー
俺はおじいちゃんのホームにいる。明け方までお互いの経緯を語り明かし、行き場のない俺を引き取ってくれた。
おじいちゃんはパーティの仲間と一緒に暮らしている。どのくらい強いのかはわからないが、冒険者としてしっかり生計を立てている。
「おじいちゃんおはよ。」
生前厳格だったおじいちゃんにはいつも敬語を使っていた、タメ口だと礼儀がないだの、教育がなっていないだのと。
でも昨日の女ったらしおじいちゃんを見れば、タメで十分だ。
「おい、ここは日本じゃないんだ、こんなに歳が近いのにおじいちゃんってやめてくれよ。」
異世界でリミッターを外したと言うことか。
「あら?起きたの?可愛いわね。」
奥の部屋から出てきたのは、昨日おじいちゃんとイチャイチャしていた褐色肌の女の人。
アマゾネスのリン、おじいちゃんのパーティの仲間。それにしてもやけに色っぽい。
「おじいちゃんの女の人のタイプってこんなんだったっけ。」
「うっ、生前のことはもう忘れろ。それにあれは俺の女だからな。」
あらあら、気持ちが悪い。あんな堅物が。
「はいはい、それよりおじいちゃん、王都を案内してよ。」
『おじいちゃん?』
パーティのみんなの声がハモる。
「グフッ、ヘデンお前まだ昨日の酒が抜けてなかったのか?まったく〜飲め、水を!」
おじいちゃんは俺の口にコップを無理矢理押し付けて虐待してくるのだった。
おじいちゃん、いやエイトのパーティと王都の街に出た。
一つ気になることなのだが、リンがやけに近い。エイトとは付き合っていなくて、昨日はお酒のノリでボディタッチしていた、ますます気持ちが悪い。
「エイト、ここは?」
「冒険者ギルドだよ、お前も登録するといい。ダンジョン攻略にクエスト、昨日も話したがここが冒険者の活躍する場だよ。」
そこにあるマジックミラーの前に手をかざすだけで冒険者登録できるらしい。以降ステイタス更新も手をかざすだけ。
「ほらヘデンくん、こっち。」
「ええ、ちょっと。」
リンが俺の手を引いてマジックミラーの前に引っ張り出した。相変わらずエイトは不満そうにしているが。
「すごい、魔法石なのか?」
俺はその魔法石に手をかざした。魔法石は赤く光り、マジックミラーにスキルやステイタスを表示させた。
冒険者レベルG
スキル:へストシールド(ノーマル)ガーディアンシールド
レアスキル:テレポーテーション セントエルモ
「へぇ、すごいな・・」
ガーディアンシールドってなんだ?まだ試した事がない。テレポーテーションは瞬間移動で、セントエルモが青い炎??
「あら、あなたへスト族のハーフなのね?」
ゾクッ、耳元で囁くなよ!
「あの、近すぎる・・・」
いい香りがする・・
「はいはいはい、そこまで。えーっと、レベルGか。」
エイトが無理矢理真ん中に入り、マジックミラーを覗く。
そんなこんなで冒険者登録を終えて、防具など一式を揃えてもらい、感覚的にはピンピカのランドセルを買ってもらったみたいだ。
古代ローマって感じの街並み、ケルト音楽なんてBGM流せば絶対に合うはず。これからここで新生活か。なんかドキドキして思わず笑ってしまった。
「よお、シリル。」
見慣れた顔、見慣れた耳、見慣れたその目つき。
「元気そうですね、エイトさん」
ルシア達一向とばったり会ったのだ。
昨日は気づかなかったが、ルシアたち一向は名の知れたパーティらしい。周りから注目を集め、子供達はキラキラした目で見ている。
「ヘぇ、誰かに拾ってもらえたのだな。何処かでのたれ死んでいると思っていたが。」
「全く、ルシアったら昨日ホームに帰ってから、外道は今頃外道は今頃ってうるさかったのよ。」
「ちょっと姉さん!」
あははは。そんなにのたれ死んでて欲しかったのだな。
話を聞くに、エイトのパーティとルシアのお姉さんがいるパーティはよく共同ミッションに出たり、仕事をする上でお互い支え合っている関係だと。
これも神様のイタズラなのか。
格安防具だなと言うような目で俺をジロジロ見るルシア。ちょうどその時リンが俺と腕を組んできて、メンチを切っている。
正直イヤではあったが、ここは見栄を張ってみた。
ルシアは意外そうな顔を一瞬した後に何か言おうとしたみたいだが、ちょうどシリルに呼び止められてお姉さんの元に行ってしまった。
「ねえ、ヘデン君はあのエルフとどんな関係?」
君が言うとなんか色っぽいんだよ。
「んー、多分ただの通りすがりかな。」
「おい、ヘデン。近々お前達三人の歓迎パーティーをする事になったぞ。言い忘れていたが、今日からお前は俺のパーティに所属してもらう。」
と言うことで、今日から晴れて冒険者になりましたとさ。
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