追加閑話

閑話 レイア 前

※ 申し訳ありません。話が長くなってしまったので分割します 

――――――――――――


 私は生まれた時から多くの魔力を持っていた。


 両親の出身については聞いたことが無かったので知らないのだけど、私の両親は割と変わった人たちである。

 お父さんについては、魔力はそこそこだけど、どことなく所作が綺麗な人と言う印象。正直そんなに目立つような人ではないと思う。

 お母さんについては、どうやら4分の1程エルフの血が流れている、俗に言うクォーターエルフとの事。それによって保有魔力が多いとか、体の凹凸が少ないとか言っていたけれど、私にそれを確認するすべはないのだから、真偽はわからない。

 お母さんがクォーターだから、私にも8分の1程エルフの血が流れていることになる。ただ、さすがにここまで薄まると、殆ど普通の人とそう変わらないと思うけどね。寿命とかもたぶんそんなに変わらないはず。


 そんな両親のもとに生まれた私の保有魔力量は、親やその知人にまでも今まで類を見ないと言われるほどだった。まあこの時は、あくまでも赤ん坊にしてはと言う段階だったらしいけど。


 通常、保有魔力は体が成長すると共に増加していき、成人するくらいまでそれは続くらしい。そして、それは私も例外ではない。

 むしろ、一般的な同年代の増加量よりも多かったらしく、私が3歳になる頃には国でも、トップクラスの保有魔力を持っていると言われていたお母さんすら、軽々と超えていたほどだった。

 後で聞いたことだけど、急激に保有する魔力量が増えるのはまだしっかりと体が成長していない小さな子供にはかなりの負担になるらしく、両親ともに普通よりも多く魔力が増えていく娘のことが心配で仕方なかったとの事。


 そんな子供にあるまじき保有魔力量だった私だけど、私の両親が人里から離れた場所に居を構えていたため、この時はあまり私の存在は知人以外の周囲には知られていなかった。



 日に日に魔力が多くなっていたある日、4歳になる前に私は魔力を暴走させてしまい家を半壊させてしまった。以前から私の魔力量に危機感を持っていたお母さんがこれを機に、私に魔法の指導を始めることになった。

 さすがに4歳に届いていない子供に複雑なことを教えるのは無理だったため、初めは魔力を上手く制御することを主に教えてもらい始めた。

 割とスパルタな指導だったけど、前に魔力の暴走を起こしている以上、当時は結構反発していたけれど、止む無しだったと今は思う。



 5歳になる頃には、多少制御が粗い部分もあったけど、ある程度の簡単な魔法を使えるようになっていた。火種を出したり、水を出したり、風を起こしたり、地面に溝を作ったりと子供ながら割と幅広い魔法が使えるまでに成長した。

 そもそも、保有魔力が多いと言うことは、魔力が無くなるまで長時間の練習が出来ると言うことであり、私はそれを大いに活かして魔法の練習をしていた訳だ。

 それは、暴走させても規模が大きくならないように少しでも多くの魔力を消費するよう、両親に誘導されていたのもあるのだけどね。結果、今の私が居るのだから両親の判断はそれでよかったのだろうけどね。



 7歳になった。この時もまだ魔力の増加は続いていた。魔法に関しては、もうお母さんが使える魔法は全て使えるようになっていて、ほぼ独学で魔法の腕を磨いている状態だった。それを知っているお母さんは、魔法を学ぶことが出来る学校に通わせるかどうかを悩んでいたそうだ。


 私が、独学で魔法の腕を磨いていた結果なのか、この時には他者の魔力をうっすらとではあったけど見ることが出来るようになっていた。それが、私があの王子と婚約する羽目になる原因になるとは当時は一切考えていなかったのよね。


 そして、7歳になった私はお母さんに連れられて街に買い物をしに出て来ていた。そしてこの時、私の転機となるある人物との思いがけない出会いを果たすのだった。……まあ、国王のことだけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る