耳がキーンと
耳鳴りがする
突然の事だった
右から左へ
脳が揺さぶられる
何故そうなったのかと
周りを見渡した
自習時間
真面目
遊び
会話
キーンとまだ鳴っていた
いつも通りの風景に
耳鳴りだけが異質で
目の前の課題さえ片付けば
止むような気がした
もく、もく、もく、キーン
キーン、かりかり、キーン
頭が痛い
残念ながら頭痛薬は持ってなくて
頭を抱えながら机に突っ伏した
「大丈夫、顔色悪よ」
誰か知らない人が声をかけてきて
「頭痛薬、持ってるから飲みなよ」
顔を上げることもできず
手渡されたカプセルを鞄から取り出した水で飲み干した
「……ありがとうな」
顔を上げて感謝を告げると
そこは誰もいなかった
化かされた気持ちになる
くるりと見渡しても分からない
でも確実に、この教室の中で
優しく、同情っぽく、可哀相って
様子を見つけて渡された
お礼を言うことなく
自習時間は過ぎてった
仲のいいヤツに聞いても
「知らない」の一点張り
誰だろうか、誰だろうか
声は女子だった気がする
誰だろう、誰だろう
礼をいいたい
顔を見たい
なんで知らない人なんて
このクラスにいるんだろう
俺の世界は小さい
コミュニティさえあればいい
馬鹿な話をしてればいい
その他はオプション
なくていいものなんだ
なあ、なくていいものなんてないよな
こんなに優しくしてもらって
棄てることができないよな
神様、もう一度だけ
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