恋をするのって難しい

教室の音を聞く

皆々の声が聞こえる

昨日のテレビ

ファッション雑誌

ドラマ、アニメ

なんてことのない

いつもいつもの会話群


その中で好きな人がいたけれど

これを『恋』にするのが難しい

男友達と喋る姿は楽しそう

ちょっとバカをやる大笑い

他のクラスから教科書を借りて

横繋がりはバッチリだ


自分は一人

誰にも所属していない

グループ名は一人で読書

昔から上手く行かない

どうしようもない

歩み寄ることもしないから

浮いて浮いて仕方がない


だから、とてもひらいてない

障害物だらけで何とも言えない

恋をしたっけとしか言えない

でも、気になるなら

『恋』なのかもしれない

憧れだと思った日もある

でも、あの笑顔が少しほしくて

「なにやってんの」とか

「帰ろうーぜ」とか

隣で話しかけてくれないか


……

「なあ、俺さ、お前のこと好きかも」

舞い上がり、冷静になり、見張り付き

「……名前」

「え」

「名前言ってみて」

「……」

「どっちにベッド賭けてるの? 協力するよ」

「……」

「好きだけどさ、まあ、奇跡なんてないんだよ」

「待ってろ」


そう言って彼は廊下に行く

ちょっとの言い争いが聞こえた

駆ける音が聞こえてから戻ってきた彼は

無表情で

「ごめんな」と言うから

頬を叩いた

掌痛いなあ、殴るって痛いんだ


「用事、済んだでしょ。帰るよ」

「……一緒に帰りたい、んだが」

もう一度、叩いた

「恋はしてたと思うよ。でも終わりかな」

「……」

「お遊びの恋はいらない」

「……」

「冷めちゃった。じゃあね」

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