告白

そらさずにいてね

目を見逃さないで

喉が渇く、四角い空間

雰囲気を読んで見ていて

「付き合ってはくれませんか」

一から十まで花が萎むように小さく小さく

相手は分かっていましたというように

見つめてた目を床に落とした


春、教室に夕方の日差し

春、冬の名残り風

カーテンのダンス

曲は吹奏楽部を野球部


さあ、どっち


床から戻った目は

確かに捕らえて

心を固めたようだった


「わりぃ、好きな子いんだわ」


震えもしない、するりとした告白

眉も動かさず、無表情に近い彼の顔

大きく息を吸って吐いた


「そっかあ」


フリーだなんて思ってなかったし

嘘の常套句だって勘ぐるなんてバカだしなあ


「ごめ」

「謝ったら、このこと言いふらすぞ」


それに肩をビクつかせた


「こっちは勝負したの。勝負は勝った結果は負けた」

「そんだけだよ」

「でも。ありがとね、素直に言ってくれて」


「もう、つるめないか」

「さーね、どうだろ。でも明日からは努力する」

「……」

「意外に、ショックじゃない。想定してた。

 でも教えてくれる? 本当に好きな子いるの?」


目の前の顔が苦くでも笑みを交えた


「……うん、うん、いるんだあ」


その様子を見て、なんとなく難しいんだろうな

って思った


「手伝う?」

「いいや、崖っぷち勝負だから

 雰囲気で、外堀埋めるかな」

「そ、がんばれよ」

「……わりぃな」


苦虫はいなくなって哀愁の顔

難しいんだろう、その人と結ばれるのは

辛いんだろう、その心を持っているのは


「でもさ、怒ってもいいよ

 好きなってくれてありがう」

「ばーか、どういたしまして」


放課後、一つの恋と一つの愛を知れた

長くて短い青春の一幕

これにてお仕舞い

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