山が燃ゆ

もう見えないと思った山がある

高層ビルで隠された

昔懐かし名も知らぬ

薄ぼやけた深緑色の山

天辺の青空に

地平の薄水色

その中に

とろりと浮かぶ山一つ

連なる山々は

背の高い家々に隠されて

その隙間に

とろりと山が顔を出す

ああ、昔懐かし

コンクリートの山さえなければ

この寂しく感じる山は

波を打ち、地を正し、空と別れた

山々

感傷に浸り、悲しむふりをする

時代の流れを嘆き

泣く振りをして

「山、見えるもんだなあ」と

口にした

今日のことである

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