第6話 敦美

「いい拾いもんしたな」


「全くだ。森の中を一人で走ってるなんて不用心だったよなぁ、おい」


私の目の前にしゃべる蜂としゃべるダンゴムシが居る。私は大きなトンボが教室に入ってきたときに真っ先に逃げた。校舎の中は無人で、クラスの事なんて気にかけることなく外へ飛び出した


見慣れない風景だったけど、恐怖にかられてできるだけ校舎から離れようと思って走っていた時にこの2匹に掴まった


最初に蜂に刺され、体がマヒして声も出せなくなり、ダンゴムシに乗せられて数時間移動した。その後、蜂に空中に持ち上げられ、マヒは解けたけれど逃げ出すことは出来なくなっていた


「私をどうするつもり!」


「威勢がいいな、俺はそっちの方が好きだぜ」


「ちなみに名前はなんて言うんだ、おい」


「北村敦美……です」


ダンゴムシに名前を聞かれ、とっさに答えてしまった。思ったよりも蜂とダンゴムシが怖くないからかもしれない。言葉が通じると知らなくて、すぐに襲われたときは恐怖だったけれど


「ほうほう、敦美ちゃんね、これからよろしくな」


「それで、どっちの子を産みたい? おい」


「え? 子……ですか?」


「そうだ。どっちも嫌だは通じないぞ? おい」


さっきまでの雰囲気が一気に変わり、まるでカツアゲする不良の様な雰囲気になった。虫の子供なんて産みたくない……私はとっさにこの洞窟の様な場所から明るい方向へ走る


「元気がいいな、でも逃がすわけにゃいかんな」


しかし、あっさりと蜂に追いつかれ、またマヒする毒を背中に注入された


「あっ、ぐっ、なっ、んでっ?」


最初にマヒした時と違い、全身が動かせないほどではなく、刺された場所がズキズキと痛む。長時間正座して痺れたような中途半端なマヒだ


「弱めに打ったぞ」


「痛みが無けりゃ恐怖も半減だろうからな、おい」


「なっ、にをっ、するっんっ」


私がマヒした口で一生懸命に話している最中にも関わらず、ダンゴムシが近づいてきて私の制服の上着を破いた


「結構な巨乳だな、おい」


「俺はあんまり巨乳は好きじゃないから今回はお前に譲ってやるよ」


そう言って蜂は離れて行ったが、ダンゴムシは逆に私に近づく。感覚が鈍いとはいえ触角が体を触って気持ち悪いしくすぐったい


「人間は恐怖を感じると従順になるからな、おい」


そう言って私の左手を尖った口で噛みついてきた


「い、いたっ、い」


しかし、毒のせいなのか傷口の割に血はほとんど出ない


「次は、足でも折るか、おい」


ダンゴムシは、2mくらいの高さに1mくらいの岩を作り出すと、私の足にそのまま落とした


「ひぎゃっ!」


その痛みは手どころではなく、グシャリと潰れた足はひどく痛む。あまりの痛みに私の股間が濡れる


「こいつ、漏らしやがったぞおい」


「やりすぎだっつーの。死んだら死んだで死肉に産み付けるやつもいるが、生きてた方が再利用できるからな。ほら、口を開けろ」


蜂は私に命令するが、痛みでそれどころではなく、口は元から勝手に開いている。蜂は両足で私の頭を固定すると、唾液を垂らしてくる。私は飲み込みたくなかったが、飲み込まないと離してくれなさそうなので仕方なく飲み込んだ。すると、傷口が熱くなりあれだけグシャグシャだった足と、噛まれた手が治る。マヒは治ってないけど


「な、おっ、た?」


「こう見えて俺は支援系なんだよ。これ以上痛めつけるのも逆効果っぽいしさっさと産み付けろよ」


「ちっ、仕方ないな、おい」


ダンゴムシは私をうつぶせにひっくり返すと、私の下着を引きちぎった


「ひっ、なに、をっす、るのっ?」


「話を聞いてなかったのか? おい。俺の卵を産み付けるんだよ」


オスなのに? とか言う前に、ダンゴムシが背中にのしかかってくる。肺が潰れてうまく呼吸が出来ない。そして、私のお尻に何かが入り込もうとしてくる


「いっ、やっ!」


「大人しくしろ、おい」


私は動かせる範囲で足をバタバタと動かして抵抗したが、お構いなくお尻に異物が入り込んできた


「あ、あっ」


そして、何かが入り込んでくる。さっきの話の通りならこれが卵なのだろう


「体の中身が少し食われるけど、死ぬ前に俺が回復してやるし、痛みは和らげてやるから生まれるまでがんばれ、なっ?」


「ひぐぅぅっ」


私は涙が溢れてきた。私が何をしたって言うのよ! 他の人より少しだけ早く逃げただけなのに!


マヒと肺の空気が無いために叫ぶことができないので心の中で思いっきり叫ぶ。お尻から段々とお腹の方に動く何かを感じる。それから痛みを感じたのは直ぐだった

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