第10話 師匠の家(4)
「でも、冒険に出るのなら、この家は数日の間しか使わないのか……」
異世界での生活水準をどうやって上げようかと、独り
「明日は
師匠はそう告げる。
仕方なく、その場は――はい――と返事をした。
だけど――
(正直、興奮して眠れないな……)
こういうのは修学旅行以来だろうか?
(その分、朝が早いんだろうけど……)
それに
僕は素直に――寝る――という結論で、一度は
だけど、目を閉じたからといって、眠れる訳でもない。
(やっぱり、魔法や
師匠の部屋を訪ねようと思い、僕は部屋を出る。
真っ暗な中、
(良かった! まだ起きているみたいだ……)
僕は
すると、師匠が
どうやら、
先程、僕の部屋に持って来て、合わせた衣装が広げられている。
(<魔物使い>用の
――ヤレヤレだ。
僕は苦笑すると、師匠を
明かりの正体である
しかし、こうして見ると寝顔は可愛い。
「口調は変だけど……」
そんな僕の
「
と師匠。むにゃむにゃ――と口をモゴモゴさせる。
(おや、起こしてしまったかな?)
謝ろうと思ったけれど、
「ううっ、お父様……」
どうやら、寝言のようだ。
彼女の部屋に
そして、彼女を
放って置けば、その内、魔力が切れるだろう。
僕は師匠を起こさないように、静かに自分の部屋へ戻ろうとした。
しかし――
「行かないで――」
そう言った師匠に、服を
天窓から月明かりが差し込む部屋で、彼女の目に涙が浮かぶ。
そして、頬を
「行かないよ」
僕はそう言って、その涙を
「お帰りなさい――お父様……」
彼女は
だけど、それも
(い、
レベルの違いだろうか? 僕の身体が、ミシミシと音を立て
正直、少女の力とは、とても思えない。
「もう……離さないから――」
フフフッ♥――そう
「いや、離して――」
――ガクッ!
僕はその場で、気を失うのだった。
† † †
翌朝――
――ドカッ!
腹部に強い衝撃を受けて目を覚ました。
「おお、すまぬ! つい反射的に……」
と師匠。HPのゲージが
早速、【ファーストエイド】が役に立った。
「し、死ぬかと思った……」
床に両手を突き――ハァハァ――と息を荒げる僕に対し、
「す、すまぬのじゃ――でも……」
最初から言ってくれれば
気持ちは嬉しいけど、気が動転していて、今はそれどころではない。
昨日の夜といい、二回も死に
――しかも、召喚主に殺されそうになるとは!
(異世界って、
「ううっ、初めてじゃったのに! 寝込みを
こういう場合は一度、相手を冷静にさせてから説得すべきだろう。
昨夜の怪力から
「で、その……
師匠は顔を赤らめて、髪の毛の先を指でクルクルと
思ったよりも、冷静になるのが早かったようで助かる。
「いや……まぁ、
僕は落ち着いた態度で、
「おはよう、師匠……」
と
「う、うむ……おはよう」
いや、ハニーと呼んでくれても構わん!――と謎の知識を
取り
「実は昨夜、師匠が
と説明をした。僕の落ち着いた態度を不思議に思ったのだろう。
「んん?」
師匠は頭の上に疑問符を浮かべる。
「
素直に説明しても良かったけれど、あの寝言の事まで話さなくてはならない。
ここは
「なっ⁉ そ、そうじゃったのか?」
そして――
(クソッ、可愛いな……)
一瞬――手を出してしまった事にすれば良かった――と思う自分を
「状況から判断するに――師匠と一緒のベッドで寝ていた――という事かな?」
寒くはなかった?――と僕が質問すると、師匠はフルフルと首を横に振った。
「布団を掛けて上げたんだけど……アレ? 風邪かな……」
顔が赤いよ?――
僕はそう言って、師匠の
「こ、これは違うのじゃ!」
か、
(少し、意地悪だったかな……)
そう思いつつも、どうやら納得してくれたようだ。
下手をすると、また殺され
「ううっ、朝食の準備をするから、お
と彼女に言われ、僕は部屋を追い出されてしまった。
この様子なら、
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