第5話 テラ神殿跡地(1)
優しい
新緑の
青空には太陽が昇り、温かないい陽気だ。
「どうやら、目が覚めたようじゃ――ですね……」
僕が上半身を起こすと、そこには少女が一人、
(中学生くらいだろうか? 不思議な雰囲気の子だな……)
彼女の美しく長い髪は、
そんな髪の色をした人間が居る
(精霊か
目を
彼女の瞳は金色で、白を基調とした
額の
そして、右手には頭身よりも大きな木製の杖が握られていた。
(まるで魔法使いの杖だな……)
「君は?」
僕は――夢を見ているのかな?――と思いつつも質問を投げ掛けた。
すると少女は
「
そう言って足を一歩引き、
(カーテシーというヤツだろうか?)
「どうか、お
「……」
状況が呑み込めず、僕は
(もう一度、現状を
確か夏休みに入るとほぼ同時に、家族で北海道へ旅行に来た
(新幹線に乗って、それで――そうだ!)
祖母の家で、叔父さんの部屋を片付けていたんだった。
不意に<異世界転生>の
「まさか、僕はゲームの下敷きになって、死んでしまったのでは⁉」
そんな僕の言葉に、
「バカか……いえ、死んではいません」
少女はゆっくりと首を左右に振る。
(今、『バカ』って言わなかったか?)
「その証拠に――」
と少女。
(一瞬、
――気の
少女は続けて、
「その魔法陣の光が消えてしまうと、
と教えてくれた。どうやら、元の世界に戻る事が出来るようだ。
だが同時に――ここが異世界である――という事になる。
「つまり、この魔法陣から出れば、君を助ける事が出来るんだね」
僕の結論に、
「はい、その際は、私との契約が完遂されるまで、元の世界に戻る事は出来ません」
少女は愛らしく
(
しかし、そんな無邪気な顔をされると、
それに先程見た彼女の
(やはり、アレは気の
僕は気を取り直して、
「で?
悪いけど、<魔王>を倒すとかは無理だよ――と冗談めかして言ってみた。
そもそも、すべての基本ステータスが中の下である自信が僕にはある。
(
「いいえ、
そんな少女の言葉に、
「<魔物使い>?
僕は首を
(育成ゲーム的な事をすればいいのかな?)
正直、その手のゲームは
ラスボスが弱すぎて、達成感も今一つだ。
恐らく――特定の
そんな状況を無くすため、バランスを重視しているのだろう。
(最近は、難しくしても売れないからな……)
制作側も、割り切るしかないのだろう。
プレイヤーである僕達が工夫するしかない。
例えば、
対戦が可能なモノもあるけど、運の要素も強い。更に育てた
(よし、
「ゴメン……悪いけど――」「どうか、お願いします!」
「
シクシク(チラッ)――と必死に頼む少女。
泣いているのだろうか、その場に
「わ、分かったよ……」
と僕は答える。少し前までの妹の姿を思い出してしまった。
今ではすっかり生意気だが、つい、この間までは、
「お兄ちゃん、どうしよう⁉」「お兄ちゃん、助けて!」
そんな風に、よく頼られていたモノだ。
その
「本当ですか⁉ やっぱり
少女は
「う、うん――でも僕……あんまり強くないよ」
と答える。彼女は首を左右に振ると、
「問題ありません!」
そう言って胸に手を当てると、真っ直ぐに僕を見詰めた。
「大切なのは
そんな風に言われると――イケる気がしてくる――から不思議だ。
「えっと――じゃあ、この魔法陣から出れば契約完了って事だね」
僕は決心する。
「そうなります……でも、本当によろしいのですか?」
少女は
僕は――問題ないよ――と
「『
そう言って、僕が手を伸ばすと、
「はい♥ アスカ様……」
彼女はその手を取る。余程、嬉しかったのだろうか?
その大きく綺麗な瞳には、涙が浮かんでいた。
僕は
「フッハッハッハッハァ! 引っ掛かったな小僧!」
と少女は
「
お
どうやら僕は、彼女に
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