第7話 夢の機械。転送装置(詐欺

「では、直接お話をしてみられてはいかがでしょうか?」


 本星からここまでは48億キロ離れているらしい。

 太陽系で言えば地球から冥王星までの距離。昔なら無人探索機が距離だ。


「直接って…本星まですごく離れているんだろ?すごく時間がかかるんじゃないか?」

「いえ、1分で会えますよ」

 早すぎじゃね?

 そう言うとフンババたちは高さ3m幅1m位の円筒系カプセルに案内された。

 おお、これはもしかして転送装置という奴か?

「この中にお入りください」

 未来のオーバーテクノロジーに胸を高まらせて足を踏み出す。

 透明なカプセルから見える景色がどう変わるのか、わくわくしながら待っていると


 …………

 …………………

 ……………………………



「はい、終わりました」といわれた。



 ……………………………あれ?


 何の景色も変わってないんだが。

 転送は?夢のワープ移動はどこに行ったのだろう?

 そう思っていると、モニターに口をパクパクしている黒人が一人、豆鉄砲でも食らったかのように驚愕の目でこちらを見ている。

「どうやら成功したようですね」

「成功?」

「はい、

 さらっと爆弾発言がきた。


「ちょっと待てぇぇ!!!!!」

 何 本人の許可なしにクローンなんて作ってるんだよ!

 人権侵害だ!俺にもう一人養うような甲斐は無いぞ!

 そういうと、不思議そうな顔で



 そりゃ、ただでさえ安月給なのに、これ以上食い扶持が増えたら…………………


 ………………そういえば、食料の心配はないんだったっけ?

「はい。」



 …………だとすれば困ることはないのだが、何かしゃくぜんとしない。

「どうしてもこの世界に一人だけでいたいとご希望でしたら、こちらに分解機がございますので

「やっぱり、二人いてもいいな。せっかく増えたんなら最後まで複数の人生を楽しまないといけないよな」

 材料に戻る。という言葉が脅しでもジョークでもなく日常的な会話でしかないことを感じた俺は即、現状を肯定した。


 ひいおじいちゃんがハマっていた『ゼン』とかいうのに万物は流転するという思想があったそうだが、ここまでシステマチックに流転させられては困る。


『手紙をワープさせるよりも、書かれた文面データーを電気信号でとばして、向こうで再現した方がコストも速さも良い』そういう思想で作られたのがFAXという古代技術らしいのだが、それが生物にまで適用されるとは思わなかった。


 というわけで、ここからは別の惑星で生み出された俺の話をしよう。

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