104話 旅立ち
今日は出発の日。新たな一歩を踏み出す日立ちの日。それ故朝食を済ませたらリボーンに向けて
出発目前にブライトやルブノス陛下に見送られようとしていたその時、シュヴァルド・ベーカリーとエイト・カーンの2人が突然現れた。
「陛下、前回の定例会議を私情により欠席してしまいに参列する事が出来ず申し訳ありませんでした」
「なんとお詫びすればいいか」
「そなたらが欠席するとは余程のことがあったのだろう。気にせずともよい」
「お恥ずかしながら不貞を行っている事が判明しまして」
「仮に治安を守る為の警備隊員がそのような行い手を染めているとは、親としても警備隊総司令官としてもとても看過できぬ事態。何としても我々の手で更生せねばならぬと思い…」
「そ、そうか。それは大変だったな」
「それで折り入って陛下にお願いがございます」
「ふむ、申してみよ」
「はっ、実は息子との接し方で悩んでおりまして」
「…と言うと?」
「罪を犯した故厳しく接さねばと理解はしているのですが恥ずかしながらなにぶん子煩悩と申しますか、数日経つと段々毅然と接し続けていくのが難しいのが現状でして。正直私はどうすればよいのかわからず、同じ立場のエイトも同様の状況でして相談するにも相手がおらず、どうしていいかわからぬ始末なのです。ですねで同じ子を持つ身としてどうすれば良いかご教授願えませんか」
(一国の王に対してわざわざ尋ねる事ではないと思うけど、それほど追い詰められているという事か。だけど…)
大河は陛下の方に視線を向けるがその顔には『そんなの教えてもらえるのであれば私が教えてもらいたい』とでも言わんばかりの表情をしており心配になった。
「まあ、親になれば子供との距離間に悩んだり戸惑ったりというものは誰しもが通る道であろからそなたら苦悩するのは当然といえよう。私もこう見えて色々と大変だったからな…本当は現在進行形で継続中だけど」
「陛下、最後何と仰ったのですか?小さくで聞き取れなかったのですが」
「いやまあ、この際だから休日でも摂って少し息子と時間を共有してみるのもいいのではないか?そうすれば見えてくるものもあるかもしれんぞ」
「そうしたいのは山々なのですがご存知のとおり私やエイトも多忙な身ですので厳しいかと。今回も部下に無理をしてもらい何とか1週間ほど休みを取り、一から鍛え直そうと息子の更生に力を入れましたが正直色々と絶望的難しいという結果に。それに我が息子ながら根本的部分が違うと言いますか、好きなもや趣味から何まで違いがあり、時間的にも理解するのは中々に厳しいかと」
シュヴァルドやエイトが苦悶の表情を浮かべ藁にも縋る思いで陛下に助けを求めていると王妃から思いもよらぬ提案が出された。
「ねえ、一から鍛え直すという事ならリボーンに行くタイガさん同行させてみては?クラリスやエルノアも一緒に行くのだから丁度良いのでは」
(な、何て事を口走ってくれやがるんですかこの王妃様!?只でさえ貴女方の娘さん2人でも俺には精神的に軽々重量オーバーだってのに更にあのヘンテコヘアーズと共に行動するとか俺に死ねというんですか!?申し訳ないけどここはお断りさせてもらって…)
「もしそうしてもらえるのであれば有難い。リボーンは再誕の地であると同時に始まりの地。あそこなら初心を取り戻すのにも持ってこいですな」
「タイガ君、図々しいお願いで申し訳ないのだが頼まれてくれないだろうか。この通りだ!」
(止めて!救いの手を見つけましたみたいな希望に溢れた眼差しを俺に向けないで!そしてそんな必死に懇願しないで!)
「はっはっはっ、良かったじゃないかタイガ
何が良かったと言いやがるんですかねこのド天然師匠は!?
「面白くなりそうじゃないか」
ぜーーんぜん、面白かないわい!!
『くっくっく、面白い事になっておるようじゃな』
『クソ神!毎度毎度俺の窮地に無駄に出てくんな!というかこの展開の何処が面白いってんだよ!?』
『他人の不幸は蜜の味という言葉を知っておるか?しかもそれがクソ生意気で無礼極まりない貴様の顔が不幸によっで歪んでいるとなればこれ以上に面白い事などあるまい』
『て、てめー。典型的なクズキャラみたいな台詞を堂々と』
『他人の不幸が蜜の味』とか絶対神が使うべきじゃない…というか普通思ったりしないだろう。つくづくこのクソは神に向いてなさすぎだろ
「賑やかになるのもあるが、純粋に仲間が増えていいじゃないか」
増えるのは仲間ではなく負担だと思います
「共に戦闘が出来る者が増えるのは心強いしな」
そう言われれば…共闘が成立するかはわからないけど戦力にはなる…のかな?まあ、確かに王女らを前線に立たせられない事を考えると…
『その代償として戦闘意外が相当苦労することになるんじゃろうな』
『テメーはもう帰れ!』
何で出発前からこんなに精神削られないといけないんだ?
「わかりました。あの2人の性か…成長の手助けになるかどうかはわかりませんが一緒にいってもいいですよ。ですが王女様がた何と仰るかはわかりませ…」
「構わん許可する」
「私も別に」
「娘達が気ににしないのであれば私からも何も言うことはない」
まあ、こうなるよな
「それではお2人のご子息は私の方でお送りいたします」
「え?一緒ではないのですか?」
「王女様方がどうしても2人で寄り道したい場所があるとの事ですし、クラリス様自ら
「え?王女様が自ら?」
「何ですかその不安に満ちた表情は?私の魔法を信用していないのですか?」
ぶっちゃけ全く信用してない。しかも使用する
「大丈夫だ、クラリスは魔法の中でも
「ああ、それなら安心?ですね」
「大丈夫、お前は特別に一緒に連れて行ってやる。あの凄い景色に」
「エルノアなりの友好の現われですね」
「は、はぁ。ありがとうございます?」
「タイガ
「気力と度胸…ですよね?」
「うむ、それさえ忘れなければ大抵大丈夫だ!」
「さっさと力を付けて上がってこい。そうすれば
「ちょっと!それ本当に冗談よね?私たちに葉っぱかけてるだけよね!?」
「さあね?」
「体に気を付けて」
「…頑張…って」
「はい、ありがとうございます」
「楽しむのはいいけどちゃんとリボーンにはたどり着くのですよ」
「勿論です母上!必ず辿り着いてみせます!」
「それでは行って参ります」
「タイガ殿、くれぐれも娘たちを頼みます」
「はい、どうぞお任せください」
本当は頼まないでくださいと言いたい。言いたい~。本心とは真逆の事でも口にしないといけない。これが大人になるという事なのか?
「くれぐれも死なないように」
「はい」
「街に着く前に」
「はい?」
そのまま間抜けな声を出した直後に転移した。
「行ってしまったか」
「ふふふ、これからあの子達はどんな冒険をしていくのかしらね」
「なるべく平穏な始まりを」
「こういう時は意見が合いませんね。なるべく苛烈な戦いの中へ」
「さらっと凄い事いいますね」
「だって普通では物足りないかもしれないでしょう。あの子たちは」
「はは、そうですね」
「それにあの子達がもしそういった事で追い込まれて乗り越える事が出来たのなら。そう思えて…いえ、そう思いたくてならないのよ」
「「?」」
「そうだな」
「よくわからないですけど今の王女様たちはそれを乗り越えられるんですか?」
「今は無理かもしれないけど冒険を乗り越える度に成長していけば或いは。それにもしそれで無理だったとしてもあの男の子がいればきっと…そうでしょうルブノス。だからこそ貴方はあの子に託したのでしょう?」
「ああ、彼ならあの子たちが歩みを止める事になったとしても何とかしてくれるだろう」
「タイガに対しての信頼とそれに比例しての責任が重すぎる」
「同情するぜタイガ君。南無南無」
「まだ早いわ!」
「痛て」
「陛下!大変でございます」
「何事だ」
「実は先程情報統括局より緊急の連絡が。リボンーンにて…」
大河はまだ知らない…自分が
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これにて『死んでないのに異世界に転生させられた』の第1章は終了となります。設定・進行速度くだくだの進まないストーリーであったに関わらずここまで閲覧してくださった皆様、感想・応援、レビューを送ってくださった方々、本当にありがとうございます。あらゆる方の閲覧や励ましのコメントのお陰でここまでやってこれました。
2章からは本格的に冒険者活動とそれに伴い戦闘シーンを増やしていく予定です。始まるまでに少々時間が空くとは思いますがまた暇な時にでも目を通していただけたら幸いです。
本当にありがとうございました^ ^
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