23話 この小悪党達の底が知れません
「どの服と組み合わせも素晴らしいものだが、やはり1番は何も着用していないありのまま状態。すなわち衣服を纏っていない裸体こそが最大にして真なる芸術作だ!これほど心が高ぶるものはない」
まさに至福の時間といった感じで満面の笑みスコーンは語るものの彼と隣で未だに土下座させられているモヒ・カーン以外はスコーンの発言にドン引きしていた。
(腐る!このままこいつの性癖暴露と言ってもいい腐敗しきった話を聴き続けていたら 本当に耳が腐ってしまう!)
「人形とはいえ幼女の服の中に隠された神秘を目に焼き付けるのは何物にも代え難い幸福『ミシ』ギャーー!!父上!力が入りすぎています!頭蓋骨から聞こえてはならない音がアアアア!」
(正直もういっそのこと何処かに永久投獄したほうがよくないかコイツ)
「これならまだ実は世界征服を企んでいてその為に資金集めしていたとかの方がマシだったな」
「私の崇高な趣味を理解できないからといって愚民どもと同じく批判するつもりか」
「いや別にお前がどんな特殊な趣味を持とうとそれ自体は自由だと思うが趣味のために犯罪に手を染め他人に迷惑をかけるのは駄目だろう」
「この素晴らしいコレクションを集める為に他人から金をせしめるのが良くない事だとでも言うのか貴様は?」
「え?何言ってんの?当たり前じゃん」
(なんで自分の趣味のために他人を脅して金を巻き上げようとしてる行為を正当化して『悪い事なのか?』みたいに自然に疑問視出来るのだろうか?)
「何故皆この素晴らしい芸術に突き動かされる思いを理解出来ないのだ」
(駄目だこのフランスパン。見た目と同じく脳みそまで焼き焦げてしまっているらしい)
「私はこれでも必死に我慢しているのだ!現実の幼女をかっさらってあられもない姿にひん剥いて自分の欲望のままに行動しないように必死に耐えているんだよ!」
(ヤバイヤバイヤバイ!さっきまでも充分異常者発言だったけど今のは今までのこいつの発言の中で郡を抜いてで1番ヤバイ!)
「お前…自分でなに言ってるのかわかってる?」
「ああ、わかっているさ。本当なら今すぐ幼い金髪美少女を拉致してその未成熟な裸体を余す事なくこの目に焼き付けたいんだ!でもそれは流石にイケナイコトだから我慢してるんだ!それならこんな些細な罪ぐらい目をつむってくれてもいいじゃないか!」
(何これ?ツッコミ所が多過ぎるんだけど?スレスレどころか完全に汚職に手を染め犯罪者発言してるのになんでこんなに必死に被害者面して俺悪くないですアピールできるんだろうか?)
「大体『ミシミシミシ』ギャーー!父上!頭が私の頭がアアアアア!」
「まさかと思うがお前もコイツ同じ犯行理由じゃないだろうな」
「ふ、何を言うか無礼者。そんなわけなかろう」
(良かった。とりあえず一安心…)
「確かにスコーンは素晴らしい価値観の持ち主だが私のそれは彼のよりも更に高次元の域にある」
(…じゃないな。中二病臭も含めて俺の中の危機感知センサーが反応してしまっている。正直アレ以上のトンデモ理由なんて御免こうむるのだが)
「しかと聞くがいい。私は『ゴーーン』オギャー!何をするのですか父上!」
「これ以上よそ様の耳を汚すわけにいかないのでな。それにお前の場合も大方見当がついている。罰は家に帰ってから嫌と言うほど与えてやる」
シュヴァルド・ベーカリーとエイト・カーンはそれぞれ息子を首筋に強烈なチョップで気絶させると大河に歩み寄り再び謝罪した。
「常々息子が失態を晒してしまい申し訳ない」
「アイツらは私達が責任を持って何とかするから任せてくれ」
「わかりました。ではそちらはお任せします」
(正直もう二度と関わりたくないしな)
「それと何か償いをさせてほしい。我々が出来る事であれば何でも手を貸そう」
大河は少し考えた後に指差した。
「ではアレをもらえますか?」
「ウソビリくんか。本来コレの魔道具は警備隊員にしか持たせてはいけない代物だが…まあ、そなたであれば悪用する事もないだろうし特別に差し上げよう」
「ありがとうございます」
(これがあればこれからどんな詐欺に遭ったり冤罪吹っかけられそうになっても切り抜けられるからな)
大河は受け取ったウソビリ君をポケットへとしまった。
「私達も暫くこの地区に滞在しているから何か困ったことがあったら訪ねてくるといい。できる限り力になろう」
「それでは一つ訪ねたいのですがこの街の冒険者ギルドは何処にあるのか教えてもらってもよろしいでしょうか」
「この地区の冒険者ギルドであれば丁度この警備局の隣だよ」
(あれ?随分近いとこにあったんだな。探し回る手間も省けたし、ある意味怪我の功名だろうか?にしてもこの地区のか…。壁の広さから予想はしてたけどかなりの規模の街みたいだな。それともこの世界ではこれくらいが基本水準だったりするのだろうか?)
こうして大河は無事誤解を解き釈放されることができた。隣にある冒険者ギルドへと歩き出した。
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