19話 ヤッパリウソハダメダヨネ

「何を騒いでおる」


 大河は声のした方に目を向けるとそこには小麦色の髪とそれと同色の顎髭を生やし、背中に大刀を携えた男とその隣に髪の色が緑であること2本の長剣を携えていることを除くと同じような見た目の男性が立っていた。そして2人の佇まいや纏っている歴戦の戦士の様に感じさせるオーラが強者であることを大河の脳が訴えかけた。


「「ち、父上達!いらしていたんですか」」


 スコーンとモヒ・カーンは心底驚いた様子で駆け寄って跪いた。


(父上?ということはこの2人がこの汚職隊員の父親達か。互いの視線からしてフランスパンの父親が大剣で、モヒカンヘッドの父親が二刀流か。フランスパンの方は髪色が一致してるだけに似ていると言えなくもない気がしない程度だが、モヒカンヘッドは前から進むごとに髪に別の色入れていってて結果的に虹みたいになってるから親と微塵も似てないな。まあ両者とも見た目は立派な感じはするけども息子が息子、だからな…)


 大河は今までの出来事もあって目の前の人物が一見まともそうに見えるだけに逆に心配になった。


「少し確認したいことがあってここに立ち寄ったのだ」


「そうでしたか。ちゃんとお迎えすることができず申し訳ありません。こちらは少々立て込んでいまして」


(おお、意外とちゃんと敬語使えるんだな。知性というか教養を全く身に付けてない感じだったのに。見た目的にも発言的にも)


「一体何があったのだ。この者は?」


 スコーンパパが大河の方を向きながら息子に尋ねた。


「実はこの者は通行証を持ってらず我々の制止を振り切って無断で門を通ろうとした者で確保して素性を調べていたところ他国で指名手配中の犯罪者であることが分かり、それを知られたからか脱走しようとしていたところを抑えていたところであります」


「おおーい!ほぼ最初から捏造だらけじゃねーか!通行証を持っていなかったの本当だけどそれ以外はでっち上げもいいとこだ!」


 大河の発言に対してにスコーンパパが前に出て何か口にしようとするがスコーンが父親の前に腕を前に出して制止するように遮った。


「父上騙されてはなりませんよ。こ奴は言葉巧みにかろわし、我々を混乱させよとしているのです」


「そうです。こんな薄汚い犯罪者の言葉などに耳を貸してはなりません。スコーンの言う通りこの者は一流の詐欺師の様に恐ろしく口が達者で我々も危うく騙されるところでした」


 見た目や先ほどまでの態度とはうってかわってごくごく真面目な人間を演じているよう相手を敬った話し方をしているため、まさに不良みたいな感じだった時とのギャップが激しすぎて、煮えたぎりそうな怒りとはまた別に男性の全裸姿を視界に捉えてしまった様な胃液が込み上げてくる気持ち悪さを体感していた。


(自分たちの方がれっきとした詐欺行為を行っていたくせによくこんな堂々と真顔で虚言を吐けるもんだな。恐ろしいレベルで嘘をつき慣れてるなこの2人)


「どうか惑わされないようにお気をつけてください。少しでも躊躇すればどんな卑劣な手段わ講じてくるかわかりません。この者の捕らえるためにどうかお2人のお力をお貸しくださいませ」


(呼吸するみたいに口開くたびに嘘つくなこの奇抜ヘッド達は。それと同時にこの2人が敬語使ってきちんと話してるの見てると今までの違和感から今日口に入れた全てをリバースしそうな半端じゃない気持ち悪さが込み上げてくる。まあそれは耐えるとしてどうしたもんかなこの状況…ん?)


 大河はさらに悪化するかもしれない状況を迎え、どうしようか考えているとモヒ・カーンの持ってきていたウソビリ君がに目が留まった。その瞬間因果応報という言葉とある方法をが浮かび大河はニヤリとほくそ笑んだ。


「いいですか父上、この者は聴取を取っている最中に『カチャ』私達を攻撃してきた危険なあばばばばばばばば!」


 スコーンが話している最中にモヒ・カーンの持っていたウソビリくんのベルトをスコーンの腕に巻き付けた。すると嘘をついたスコーンがまたしても電流の餌食となってしまいその場に倒れ込んだ。


「突然何をするのだ貴様!私にこのような事をしてただで済む…と…でも…」


 最初は大河の行動に激怒していたスコーンだったが視界に入った自分の父親の明らかに怒りを含んだ表情を見て次第に威勢は小さくなっていった。


「あの…父上?どうかされたのですか」


「どういう事か説明してもらおうかスコーン」


「えっと、説明とはどういう…」


「お前が話している最中に腕に付けられたウソビリくんが起動したのは何故なのかと尋ねているんだ」


「え?」


 指摘されたことによって自分の腕を確認するとが漬けられておりその結果先程の電撃が大河が危害を加えた事によるものではなく自分の嘘がウソビリクンに感知されたが故のものだと理解した。同時に自分の父親がなぜ起こっているのかも明確に理解してしまい、これから起こる出来事を想像して徐々に青ざめていった。


「違うのです父上これは奴が細工していたからであって私は決して父上に虚言を吐いた訳でアババババババ!」


 スコーンは何とか弁明をしようと試みるも、焦りからウソビリ君が装着している事を忘れてしまい、またしても嘘が感知されて電流による痺れを味わうのだった。

 

 

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