18話 デスルーム
ドアをが開かれ部屋の中が視界に入った瞬間立ちくらみをせずにはいられなくなる程の衝撃を大河は受けた。
先ほどの部屋のものと違い奥の方の座る椅子や机が木材ではなく大理石と思われる物で作られていた。それだけなら別にさして問題はないのだが、他に3つほどどうしても無視できない通常あってはならい点が存在していた。
1つ目めは奥の方の椅子の左右斜め上に金属製の噴射口のような物があること。しかも右側の方は棒の先端付近と椅子の上右端部分に焦げ目がついており、恐らく炎熱系の類が噴射されたであろうこと悟った。
左の方はわからないが少なくとも右側同様に人体に有害であるに違ないろくでもないものが噴出されるであろうことは想像に難くなく、もう既にこれ一つの危険物体だけで立ち去りたくなって仕方なかったが次の物が嫌でも目に入ってきた。
2つ目は手首をテーブルに拘束する器具の上、丁度指が置かれるであろう場所付近の上あたりに断頭台みたいな鋭利な刃物が存在していること。
どう考えても指チョンパするための恐ろしい器具にしか見えなかった。それから何とか目を逸らそうとするもテーブルの端にある人の指にしか見えない色をした細長いもの置いてあり嫌でも目に入り、その器具の存在を感じさせられた。どう考えても普通の質問程度に使われるような類のものではなかった。
この時点で常人であれば恐怖で正気を失ったり頭がおかしくなる事で楽になれたかもしれないがなまじ色々経験してしまっていた大河は正気を保ててしまっていたため、前の2つ凌駕する代物を目にしてしまった。
3つ目は部屋の天井に似ているでなく正に断頭台にしか見えない物体がある事。部屋のとある違和感に気付いてさならる凶器の存在を認識してしまった。上からぽたぽたと赤い液体のようなものが落ちている感じがして、嫌な感じはするものの確認するため少しだけ顔を上に向ける。
何故かこの部屋の天井が見えなかったので更に上を向くとまさに断頭台と言わんばかりの刃物が落下する際に奥の椅子目掛けて落ちてくるように設置されていた。そして刃のほとんどに血と思われる液体がべったりと付着しておりぽつぽつと雫のように水滴を下の椅子に落としていた。
そして椅子の座る部分と床におびただしい血が広がっており生首の様なものこそ無いが流れてくる反射で鼻をつまみたくなるなツーンとした独特の血生臭さが嫌でも現実だと訴えてくる。恐怖を煽るのににこれ以上の演出などないと思える光景が大河の心を凍らせていく。
「うっ!」
通常であれば決して目にすることないおびただしい量の血の塊。普通の人間でもそれらの光景はかなりショッキングな光景だが、大河には目の前にある血の水たまりが過去の光景をフラッシュバックしてまう要因となってしまい、それが頭痛という形で大河の体に襲い掛かり、軽い呼吸困難に陥っていた。
「はぁっ、はぁ」
「おお、いい感じ恐怖しているようだな」
「そりゃ誰だってこんな部屋を見たらビビるもんな」
(そんな可愛いもんじゃねーよ!)
言い返したい事は沢山あったが呼吸が落ち着くまで満足に話すこともままならなかった。
(絶対ここに連れてこられないと行けないような事は俺やってないだろう!)
2回3回と目を擦るが大河の目に映るその景色は世界一歪んでいると言っても過言ではない程に常識外れだった。
(どう考えても聴取するためだけの部屋では間違いなくないだろう。この部屋だけ文字通り異質すぎて血の匂い含め異常空間臭が強すぎる。これ絶対あったら駄目だろこの部屋。倫理観的にとか諸々の理由で)
最早拷問すら生易しいと思える器具の数々に流石の大河も動揺を隠せず呼吸が乱れた。
大河は胸に手を当て早まる鼓動を抑えながら考えた。
(この建物って本来前の世界の警察署みたいな役割の筈。少なくともさっきの部屋には前の世界の取り調べ室と大した違いは感じられなかった。それにここに来るまで他の部屋から声一つ聞こえなかった。それらから推察しても他の部屋に入らず最奥の部屋に連れてきた辺り、やっぱりこの部屋だけが特別異常なんだろうな)
大河の反応を気味悪く歪んだ笑顔で観察していた楽しんでいた2人も待ちきれなくなり早く着席するよう促した。
「ほら、はやく座れ」
大人しくいうことを聞いていては間違いなく殺されかねないと判断した大河は椅子に座らせようとする2人に抵抗し動こうとせず留まっていた。
「貴様我々に歯向かったらどうなるのかわかっているのかあだだだだ!」
「反逆しても罪を重ねるだけだぞ大人しくし痛だだだだだ!」
(焼かれたり、指を切断されたり、首とバイバイして即死したりする未来が容易に想像できるというのに誰が大人しくしているものか)
大河はもがきながら手錠された状態でスコーンとモヒ・カーンの2人の手首を掴んで抵抗した。意外なことに大河が2人の手首を強く掴むと簡単に抑え込むことができ、それどころか両者とも痛がりだした。
(こいつら仮にも警備隊に所属してるくせに駆け出し冒険者にすらまだなれていない俺に抑え込まれるとかどんだけ体鍛えずに怠けてたんだよ。その年齢…はわかんないけど、早々に自分の地位にあぐら搔きすぎだろう)
「我らから抜けだしても他の者たちに抑えられて更に重い刑が追加されて損するだけだぞ。だ、だから早くこの手を痛い、痛い!はな、離せ!離してくれ!」
(さらっと更に重い刑がって言いやがった。この手を掴んでるの関係なしに俺に重刑加える気でいやがる)
大河は聞き流せないセリフに少し弱めていた手の力を再び強め握りしめ、それに比例して2人の喚き声が大きくなった。そして2人を引きずる形で1歩1歩と不吉漂わせる部屋から遠ざかっていく。すると前方から威厳のあるような声が聞こえてきた。
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