16話 ダメだこの2人
「な、なんで…電流…が」
半焼きみたいな状態で電流によって痺れたスコーンが机に突っ伏したまま力なく呟く。
(どちらかと言うとそれは俺のセリフなんですが…。それと電流が流れたなら俺が嘘をつかずに本当のことを言っているからだと証明されたのだからとっとと手錠やらなんやら外してここから早く解放してほしい)
「こ、こんなのは間違っている!」
(あんたらの行動がそもそも間違ってんだよ)
「あれだ、きっと先にこの街に進入しているている仲間とかが持っているんだ。そうだろ、答えろ!」
モヒ・カーンがスコーンから外したウソビリくんの金具をこちらに投げて付けろと言わんばかりに睨んでくるので大河はやれやれと呆れながらも大人しくそれを付けて問いに答えた。
「この街に仲間が進入してたりなんてありませんよ」
メーターは一切動かず無音のままウソビリくんをモヒ・カーンは睨みながら次の質問をするも変化はなかった
(そもそも俺に仲間なんていないのだが…)
今まで通り大河が答えてもうんともすんともいわない嘘発見器。モヒ・カーンは懲りずに質問を投げかける。
「あ、後から仲間が来る手はずになってるとかそういう事だろう」
希望にすがる形で嘘発見器を見つめるもそれが機能することはなくモヒ・カーンも項垂れて机に突っ伏した。
「これはあれだ…きっとウソビリくんに細工をしたに違いないんだ」
「そうだきっとそうだ。俺たちの目を盗んで全てのウソビリくんを自分にだけ作動しないように細工したに違いないんだ」
(この機器ウソビリくんって言うのか。嘘つくと電流ながれるからとかが由来かな。そのままんな気もするけど覚えやすくていいか。まあ、それはいいとして…)
「何でそんなことしないといけないんだか。そもそもこの街に見つからずに進入できる術がのであれば細工なんかする必要微塵もないだろう」
大河は刺激しないようにと敬語で大人しく話していたがこの2人を相手に真面目に敬語使うのが馬鹿らしくなって素で話すことにした。
「それはきっと都合悪く魔力切れかスキルの弊害か何かで今回は進入することができなかったのだろう」
(恐ろしく自分たちに都合よく勝手に解釈してくるな。この街で誰にも見つからず侵入して工作出来るほど輩ならそんなへま踏まないだろう。そんな都合よくピンポイントでミスなんか起こさないだろうに)
「というか金が欲しいのであればひっ捕らえた段階で盗めばいいのになんでこんな回りくどいやり方とってるんだ?」
大河の問いに対して2人は意味が全く理解できず?顔を浮かべ『何言ってんだお前?』と2人同時に呟いた。
「あのな〜俺は手錠掛けられて満足に動けないからしたい放題だろうし既に罪も明らかになっていない相手に勝手に手錠をかけて連行してるんだから今更そこに立場を口実にした職権濫用で聴取している相手の金を盗む犯罪行為が増えてもあんま変わんない気がするんだが?
さっきだって不正してもバレなければファインプレーとかクソみたいなこと言ってた辺り、手を汚す事やこれらの行為に罪悪感を感じたりだとか躊躇とかするタイプじゃないだろお前ら」
2人は互いに顔を見合わせた後で大河の顔を見て茫然として、大河も何なのか分からず見返していた。
「その手があった!」
「お前天才か!」
「お前らバカなの?」
(性格というか性根がひん曲がっている部分も底が見えないな思ってたけど頭の悪さの方も底が見えないぐらいに酷いな。まあこの街にとってはそれは結果的にいい事なんだろうな。こいつらの知能数の低さ=被害の減少に繋がるだろうから軽症で済むしな)
「とりあえずひっ捕らえて脅迫して金取る事しか頭になかった」
(コイツ…等々脅迫って言い変えもせずに堂々と言い切りやがった。もはや警備隊の隊長やら隊員としての秩序がどうこう言うレベルじゃない。加えて頭の悪さも相まって完全に人として破綻してる)
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