15話 嘘つきはビリビリの始まり
大河の金無し発言に暫く硬直していた2人だったが、スコーン・ベーカリーが突然笑い出した。
「はははは、危なかった。私でなければ騙されるところだったぞ。どうせそれはハッタリなのだろう?さあ正直に本当の事を言え。
(言うほど今の発言に相手を巧妙に騙せる力があったとは思えないんだが?それに正直に本当のことを言ったのだが?)
「だから本当に私はコインの1つも持ち合わせていませんよ」
「そうやって嘘を突き続けて誤魔化そうとしてもそうはいかんぞ」
(別に誤魔化しはいないんですけど…やっぱり人の話聞かない系だなこの人達)
「貴様の口車に乗る 我々だと思うなよ。おい、アレを持ってこい」
(嫌な予感しかしない)
スコーンがモヒ・カーンに何かを持ってくるように頼み、部屋を出て数分後。メータの付いた箱のような物体を持ってきて箱から伸びているコードに付いているベルトを腕に巻きつけられた。
「優しい俺様は貴様に装着する前に一つ教えておいてやる。その道具を付けたまま嘘をつくと大変なことになるぞ。さっきみたいな見え透いた嘘などつかずせいぜい正直に答えることだなふっふっふっふ」
ベーカリー・スコーンはこの上なく楽しそうに下卑た笑みを浮かべながら笑い。モヒ・カーンも同じく嫌らしい表情を浮かべながら今か今かと待ちきれなさそうな感じで大河の事を見ていた。大河は2人に呆れながらも気になって運ばれた機器をじっと観察する。
(ああ、やっぱりこれ嘘ついたらバレるウソ発見器みたいな物か。理屈はわかんないけど脈拍かなんかで嘘を判別するみたいなものかな?まあ俺には関係ないけど)
「それでお前は今いくら所持しているんだ。正直に答えた方がいいぞ」
「0ですよ」
大河が答えた後特に何かが起こることはなく密室は静寂に包まれ、スコーン・ベーカリーとモヒ・カーンはポカーンとした顔で唖然としていた。しばらくして気を取り戻すと再び同じ質問を大河に投げかけた。
「い、今のはきっと何かの間違いだ」
「そ、そうだよな。おいもう一度聞くぞ。お前が今持っている金はいくらある」
「だから一円…いえ、一オリスも持ち合はせていませんて」
再び大河が答えるがその後も同じく何の変化も起きず只々静かな時が流れ、冷静な大河と対照的にスコーン・ベーカリーとモヒ・カーンは動揺を隠しきれず慌てていた。
「な、何故だ!どうして起動しないんだ」
「きっと故障だ。別の物を持ってくる」
そうして別のウソ発見器と思われる器具を次々に持ってきて何回も試すも結果は同じで只々時が経過していった。
「ま、まさか全部故障しているとは」
(これだけ繰り返しているのに俺が言ってる事が本当だと微塵も信じる気が無いなコイツら)
「一応壊れているか試してみようぜ。俺はこの世界の神だアバババババ!!」
スコーン・ベーカリーが大河の付けているベルトを剥がして自分に巻きつけて、中二病みたいな痛い発言をしたかと思ったら突然彼の体を高圧電流が襲った。
嘘発見器の正常に機能していないのかどうか確認すたるためにスコーンが試すも彼の嘘に反応した器具が電流を流してスコーンは見事に痺れ、10秒ほどして電流が止んだ後スコーンはぐったりと机の上に突っ伏して倒れた。スコーンから漂う焦げた匂いと少し色づいた髪が合わさって彼の髪が本当の本当のフランスパンと錯覚してしまいそうになるほどの出来になっていた。
(こ、こいつら俺にこんな物を使おうとしていたのか…怖い怖い。にしてもフランスパンの奴が髪もろとも焼けて若干焦げ目がついてるのもあって本当に焼きたのフランスパンみたくなってるな。凄くおいしそう…には流石に見えないな。当たり前だけど、どの店で販売しても100%売れ残った挙句彼の存在だけで店を潰しかねない代物だな。まあ食いもんじゃないから当然だけど。にしても…)
目の前でまともに動けなくなっているスコーンに流石の大河もほんの少し同情した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます