第2話 ペアチケットの残り券
「歌音、買い物に行ってくれない?」
「買い物?うん分かった。良いよ」
「ありがとう。助かるわ」
私は頼まれた買い物を買い出しに出掛けた。
その帰りの途中。
「…この映画…順也君と行く予定だった…公開今日までなんだ…」
私は、母親に連絡した。
「お母さん、お願いがあるんだけど。どうしても今から観たい映画があるんだけど、頼んだ買い物は急ぎ?」
「急ぎではないわよ」
「じゃあ、映画観て帰るから」
「分かったわ」
私は母親に許可をもらい、観に行こうと窓口に行く。
しかし ――――
「完売!?そうですか…分かり…」
スッと目の前に何かを差し出された。
「えっ!?」
「行く?」
そう尋ねる視線の先には男の子と言うより…男の人の方が正しいだろうか?
私よりも年上のような気がした。
「えっ?でも…これ…」
「さっき、行くはずだった彼女に急用入ったってドタキャンされた所だから残り物だけど」
「良いんですか?」
「良いから渡してるんだけど嫌なら渡さないでしょう?」
「それはそうですけど…」
「ただ、気になるのが、君の持ってる荷物。それ大丈夫?」
「えっ!?あっ…えっと…一応、母親には許可を貰って…元彼と行くはずだった映画、今日までだって…?それで…つい…足を止めてしまって…」
「そうか。とりあえず時間ないし仕方がないか」
私達は、館内に入る。
数時間後 ―――
「すみません、ありがとうございました。お陰で観れて良かったです!じゃあ、私はお先に失礼します」
「送るよ」
「えっ?」
「俺、車だし。付き合ってくれたお礼」
「でも…」
「遠慮しなくて良いよ」
私は送って貰う事にした。
「すみません…彼女に誤解されたら申し訳ないんですけど」
「その時はその時」
「言って下さい!私、弁解しますから」
「どうやって?」
「それは…」
「後先考えないのもどうかと思うけど…それじゃ」
男の人は帰って行く。
この出逢いは
事の始まりに過ぎなかった
私達はまた再会するなんて知るよしもなかった
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