第99話 第48.5局 弟子編⑧

 自転車用通路を通り、大学の中に入る。そのまま、自転車をこぎ、自転車置き場へと向かう。


 その時、不意に、視界の左端が明るくなった。


「え!?」


 思わず声が漏れる。僕の左側。そこは、中途半端な広さの庭。その先には、大きな窓。そこから、大学の校内を見ることができる。


 煌々と光る、休憩スペース。そこに、一人の女性の姿。


 僕は、その場で自転車を降り、走り出した。僕の心臓は、これまで聞いたことのないほど大きな鼓動音を鳴らしていた。


 息を切らしながら、休憩スペースへ。


 僕が現れたことに気付いた女性は、穏やかな表情を僕に向ける。


「お帰りなさい。」


 師匠が、そこにいた。

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