第100話 第48.5局 弟子編⑨
「どうして・・・いるんですか。」
「あなたが来るかもしれないからね。」
師匠は、ニコリと笑ってそう言った。
「ずっと、・・・いたんですか?」
「うん。」
「あの日から、ずっと・・・。」
「うん。」
その言葉に、僕は、よろよろと倒れ込むように、近くの椅子に座った。
「何ですかそれ~~~。」
僕の口から、大きな気の抜けた声が飛び出した。
「えっと・・・。」
師匠が、困惑の表情で僕を見る。
そんな師匠に構わず、僕の口からは、言葉が滝のようにあふれてくる。
「ああ、もう。何なんですか、これ。師匠に相談もなくここに来ないって決めて。自分で自分のこと苦しめて。妹さんにも迷惑かけて。結局、ここに来て。師匠が待っていてくれたことが嬉しいなんて。ああ、本当に、何なんですかね。自分勝手すぎますよ、僕。」
自分で自分の言っていることがよく分からない。脳の処理が、自分の言葉に追いついていないのだ。もしかしたら、勉強疲れのせいなのかもしれない。ただ、僕は自分勝手な人間だということだけは、はっきりと理解していた。
目の前の師匠は、じっと僕を見て、何かを考えこんでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます