第12話 第9.5局①

「こんばんは。」


「・・・・・・こんばんは。」


「君、将棋、好きなの?」


「えっと・・・・・・はい。一応。」


「そう。・・・いいことだね。」


「・・・・・・あの、聞かないんですか?」


「・・・何を?」


「なんで、こんな時間にこんな場所で詰将棋の本なんて読んでるのか・・・とか。」


「・・・まあ、気にはなるけど、私はあまり他人の事情に深入りするのは好きじゃないから。」


「・・・・・・そうですか。」


・・・・・・


・・・・・・


「私、今丁度、将棋盤と駒を持ってるんだけど・・・一局やってみない?」


「・・・・・・あなた、将棋指せるんですか?」


「元奨励会員だからね。」


「!」


「ちなみに、元三段。」


「・・・・・・将棋したいです!!」


「・・・君はもうすこし疑うということをした方がいいね。」


「・・・・・・違うんですか?」


「いや、違わないよ。」


「じゃあ、やりましょう!!!」


「・・・(面白い子)」

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