第5話 日が沈む者は日が昇る者を恨む

 一つの場所は、日が沈もうとしている

 それを見ている者たちのうちの一人は、それに恐怖を感じる

 なぜなら、別の場所ではまさに、日が昇ろうとし、その場所の人々の全員が笑顔なのだ

 これから、頑張っていこう

 明るい未来が待っているのだと―…

 日が沈もうとしている者のうちの一人から見ると、憎しみさえ抱いてしまう

 なぜ、俺が一番ではなくて、お前が一番なんだ、と―…

 あり得てはならない、あってはならない

 嫉妬だ

 負けず嫌いを拗らせれば、このようになるのかわからない

 だけど、この人物が日が昇ろうとしている場所の者たちの笑顔を許せず、優れているのを許せないことはわかる

 だから、考える

 日が沈まない方法を―…

 そんなことはできないのに―…

 人が過去に戻り、現在を進み、未来へと近づくという流れを変更できないように―…

 それでも、その事実を日が沈む場所にいる者の一人はできない

 できるはずもなかった

 だから、自分のいる場所が夜という名の暗黒の時代になる前に、日が昇ろうとしている場所の人々の場所を奪おうとする

 自分勝手な理由で―…

 それが、自らの夜の訪れのスイッチになるとも知らず―…


 夜は来る

 それは避けられないことだ

 だけど、夜は明ける

 日が昇るのだ

 だから、そのための準備を夜のうちにしないといけない

 しっかりと休みながら―…

 そのために、知らないといけない

 この世界の人が知っているものを、知らないものを知っているものへと変えていく

 そうすることで、生き残る可能性を高めるのだから―…

 再度、日が昇るその瞬間まで―…


 いつの日か―…、日が沈むの者のうちの一人が気づくことを祈ろう

 意味のない祈りだったとしても―…

 嫉妬を間違った方向に使っていたことにその人物が気づくことを―…

 私たちにできるのは、日が沈む者のうちの一人の嫉妬の言葉に乗せられないように、冷静にその人物の言葉を疑い、信じないということを実践しよう

 私たちがその嫉妬を火種とする業火に巻き込まれないために―…

 その業火が私たちという存在を終わらせないために―…

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