第3話 山の上に登り雲海を見る
山を登る
それは、とても忍耐のいることだ
登ってしまえば、その景色に言葉をなくす
言葉で語るなんて低俗なことはできない
言葉はいらない、感性が私に感動を与えるのだ
それでいいじゃないか
今日、山に登った
そこには雲海があった
いつも登れば見える山下にある家、町、田畑が見えない
白い雲で覆われている
雲海だ
綺麗だ
言葉はいらない
ただ、雲海が私を夢中にさせるのだ
魅惑的に
私の時を止めるように
ずっと、ここにいたいと思わせるほどに
だけど、私はふと思うのだ
雲海は私にとって怖いものであることを
私が雲海を見ている間に、私の家が、家族が、仲間が、町が
頭の中によぎる
下で今、不幸が起こっているかもしれないということを
わからない、どうなっているのかわからない
そのことが、私という存在が雲海に恐怖を感じている
降りよう、降りよう
ギャンブルでの引き際を間違えないように
雲海に今度、すべての人生を依存するように委ねるようになって、二度とこの山から離れられなくなる前に
権力の頂点に登ったものが、それ自体にすがりつき、国をボロボロにしないうちに
降りよう、降りよう
私は、この雲海を綺麗だと、ずっとこの場にいたいと思ったことを忘れよう
私は、また、この山に登る時は、雲海がない日にしよう
そう、そうしよう
私が、多くの人々の気持ちを知るということを
失わないようにするために
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