第64話
「それでは、今、此処に居る三名の神の末裔の中から神を選定します」
トントン拍子で話が進んでいく。
この中から、神が選ばれる、他の七名が拒否をしている事は気になるが……。
少なくとも、此処に居るシュテイル、と言う男が神になるのは危険だ。
この男は新世界を作る為に人間を殺そうとした男。千人ほどは残そうと考えていたらしいが、残る約九千万を切り捨てようとした。
この男が神になるのだけは阻止しなければならない。
「それでは……選定のルールをお伝えします。神の選定は二つの試練が存在します。第一に〈篩〉と呼ばれる試練です。こちらの試練では神の末裔を減らす事を目的としております。如何に神の末裔であろうとも、篩如きで落とされる様な神は必要ない、と言う神自身のお伝えで御座います」
………あれ?
この遺言って、あの覆面男が言った奴なのか?
「いえいえ、こちらは覆面男の前の神……面倒なので本名で、カルサ・エルゴ神が作り上げたものです。基本的に神が死期に近づいた場合、地球にて最も神に近い者か、神の遺伝子を与え成長した子供から選出されます。が、覆面男は次に神の座を譲る候補を作っておらず……結果、カルサ・エルゴ神の遺言が優先されました。ちなみにこの遺言は覆面男が死んだ時点で発動されているので、マータッド様、及びシュテイル様は神と言う扱いにはなっておりません」
「そうか………なんだと?もう俺は神じゃないのか!?」
うわ、ここで初めてシュテイルが狼狽した。
自分が神じゃない事を知ってしまったらしい。
「なってませんねぇ……」
「一秒程でもか?」
そんな秒単位で気にする程なの?
「さあ、話を進めますが、今回の第一試練は丁度良いので、シュテイル様が提案した十日間選定にする事となりました。こちらは、地球に対してモンスターを大量発生させて人類を殺害させます。そんな地獄絵図にて十日間、生き抜いて貰います」
「ちょっと待って下さい。俺が神の末裔である、それは飲み込めました。だからこそ、俺たちの戦いに、他の人間を巻き込む真似なんて出来ません」
「でしたら、貴方が襲われそうな人を救えば良いではありませんか……神になるのでしょう?でしたら、この程度の試練を軽々熟さなくては、人を救える者は、口よりも手を動かす人間ですよ?」
ッ……嫌な人だ。
「まあ、一応は、これは多数決なので……この試練で良いと思うお方は手をお上げ下さい」
ルールが言う。その手を挙げる者は……え?誰も居なかった。
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