第62話
「そして、あの覆面男の正体だが……アレは、神に滅ぼされた異世界の生き残りだ。自らの異能を酷使する事で神の領域に届き、そして全能の神を討った……世界を復元する為に神に足掻いた男だ、あれ程に素晴らしい男は居ないだろう」
シュテイルは、そう覆面男を称えた。
「……んな話はどうでも良いんだよ……この世界は、元に戻るのか、それが重要だ」
玄武さんはそう息巻いた。
そうだ、問題は、この世界を治す事だ。
新しい神がどんな世界を作り直すのか、気になるんだ、俺は。
「そして……君たちは考えているだろう。新しい神は死んだ。ならばその後はどうなるか……私は、新しい神となった。よって、この神の遺産やモンスターが蔓延る世界を一新したい」
……つまり。元の世界に戻る、と言う事なのか?
「……勘違いしている様だが、私は元の世界に戻す、と言う事もしない。私が行うのは新世界だ。この世界の文明も人類も興味はない。まったく新しい世界を構築する。選ばれたモノのみが幸せに生きる事が出来る、理想の世界だ。だから……この世界を一新する」
世界を、作り直す……そう言っているのか、この神は……。
「神のルールに従い……神の方から人類に干渉してはならない……しかし、私に賛同する末裔たちが居る。それらが、キミらに選別を下すだろう。これより十日間。生き残ったモノのみを新世界の住人としよう。現在、人口は九千八百万人程だが……最低、千人にまで減らす。この十日間で、必ずそうする。逃げるモノも、戦うモノも、命を乞うモノも、ありとあらゆるモノはこの十日間を以て死に絶える」
「ッざけんじゃねぇ、このクソ神がッ!」
玄武さんが叫ぶ。
同時に、草陰さんも怒りを抱いて、木刀を握り締めていた。
シュテイルは目を瞑り、空を仰ぐ。
「………なんだ、急に?……そうか、ルールか、どうした……」
そして、シュテイルは急にそう呟き始める。
一体、誰と話しているのだろうか。
シュテイルは暫く口を閉ざして何かを聞いていた。
そして、対話、の様なモノが終わると。
「……どうやら、私はまだ、神ではないらしい。十日後……神の末裔による次世代の神による選定がある……現存する神の末裔は十人。十日後に生き残っていた神の末裔たちによる選定か……分かった。そうしよう」
そうして頷き、シュテイルはその場から離れようとして。
「それでは、まず最初に顔合わせだ……転送を頼む、ルールよ」
その言葉を最後に、急に、俺の視界が閉ざされた。
そして、次に目を開かせた時、……シュテイルが、目の前に居た。
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