第34話

目指すは西の地だ。

其処に俺が目当てにしているクエストモンスターが存在する。

覆面男を倒すべく俺がする行動は、虹色確定ガチャチケットを手に入れる事。

その為には、クエストボードに記載されているモンスターを倒す事が先決だ。


狙うは〈星の狩人〉メルシア。

理由は単純、危険度がCだから。

危険度は単純な戦闘力、モンスターの持つ能力性、肉体の強度、あらゆる値の総合性で人間に対する脅威をランクとして判断された結果がCだ。

ランクが低ければ、それは倒しやすい敵、と言う事にもなる。

つまりは虹色確定ガチャチケットを入手しやすい条件なのだ。


「玄武さんッ!時を止めますッ!」


俺は叫んだ。近くに居た玄武さんが両腕を構えている。


「来いッ!アルター!!」


叫ぶと同時、歯車を背負う機械人形が出現すると。

指を前に出して彼の能力が発揮され出す。


「〈そして残るは一つのみロスト・ワン・リザルト〉」


カチリ、と時間が凍結する。

その空間で動く事が出来るのは能力所有者である俺と、〈時空者〉の職業を持つ玄武さんだけ。


「叩けッ!」


一斉に叫んだ。

俺の近くに居たアルターの拳が、玄武さんの蹴りが、近くに居たモンスターを蹴散らしていく。

そして時間が経過。時が動き出して、モンスターは知らぬうちに超過ダメージを受けて破裂した。

それで終わりだった。ダンジョンボスであったそのモンスターは消滅して、そのモンスターに付いて行く様に、他のモンスターも消滅するのだった。


「あれで終わりか?呆気ないな」


そう言いながらスマホを確認する玄武さん。

俺も同じように、スマホの中を確認していた。

今現在、俺たちは西の地へと向かっている。

その道中、どうしても充電しなければならないから、こうしてダンジョンへと二人で潜っていた。

クインシー?彼女は見張りだ。

西の地へ向かうのには、取り合えず足が必要だからだ。


「お疲れ様です、玄武さん」


「おう、……」


?……なんだろう、玄武さん、何か俺を見てるけど、何かあったのかな?


「どうかしたんですか?」


「ん?いや、お前最近調子良いよな。なんか良い事でもあったか?」


そう言われた。

……そう言えば最近、夢の中で何か良い事があった気がする。

…けど、その内容はまったく頭の中に残ってない。

あるのは、その夢の中で得も言われぬ快楽を得た、と言う事だけ。


「うし、そんじゃ戻るか」


スマホの電力が90%超えた所で、俺たちはダンジョンから出ていく。

そして戻った先には、白いバンの上でチェーンソーを握り締めるクインシーの姿があった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る