第23話
俺は事前に玄武さんのアイテムを聞いていた。
『
仮面型のアイテムは装備した者を強制的に精神発狂状態にして、装着し続ける限り笑い続けるのが特徴的だ。
肉体に対するダメージや精神干渉系の能力を全て笑いに変換する事が出来る、笑い以外感じないのは、何処かしら狂戦士の様な無敵感を感じる。
しかしそれがこのアイテムの能力ではない。
装着した者に武装甲を提供する事で提供した者との主従関係が結ばれる。
装着者は主の命令を遵守しなければならない代わり、主から提供した武装甲を職業制限を無視して装備し、扱う事が出来るのだ。
つまり、俺が持つ無用の長物である武装甲が一つ。
『〈
これを玄武さんに提供する事で、玄武さんは俺の命令に従う道化師と化す。
提供した武装甲を装備した玄武さんは、甲高い笑い声と共に赤色の電撃を撒き散らす。
「ひゃはははははっは!」
奇声に近い声だった。最初であった時、彼の声が潰れ掛けていたのは笑い続けていたからだろう。
「玄武さん、相手を攻撃して下さいッ、えっと、武装甲による攻撃で!!」
そう命令すると同時に俺はイアネルを近くに呼び出した。
「頼む、イアネルッ!」
「はぁ~い……かぷっ」
間の抜けた声と共に、俺の首に牙が立てられる。
其処から彼女の吸血が行われると、無くなった血の代わりに彼女の能力が突き立てられる。
「〈
その一撃で肉体を強化された俺は、爆弾ゴブリンと中位魔法導師を召喚して駆ける。
「行くぞッ!」
そうして俺たちは一斉になって〈時の歯車〉アルターの元へと攻撃を仕掛けるが。
「〈
アルターは能力を発動した、あのマネキン人形と同じ自分の時を速めて高速化する能力だ。
俺は辛うじてその速度を目で追える。
しかしそれに反応するのには一歩足りない。相手が攻撃を仕掛けると理解は出来るが、それに追いつける程に体が追い付いていかないのだ。
「ひゃはははっひゃーっはははっはは!!」
だが、そんな能力に玄武さんは対応出来ている。
アルターの元へ瞬時に近づいて剣を振り下ろす。
その速度は、彼女に強化してもらった俺以上の性能を発揮している。
恐らくは〈雷霆剣〉だ。
彼の肉体に迸る稲妻を見るに、彼の肉体の性能を底上げして、電気と同じ速度や神経を得ているらしい。
流石は虹色武装甲。俺には使えなかったが破格の代物だ。
「人が雷の真似事とは、しかし知っているかね?人は自然にはなれない」
鋼の腕で玄武さんの剣を捌いていたアルターは後ろへと下がった。
「〈
剣から迸る稲妻が遠方へと下がるアルターに向けて放たれる。
しかしアルターは鋼の手を両方重ねて能力を重ねて発動する。
「〈
能力を発動後、雷がゆるりと蠢いている。
なんだ、この能力はっ。
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