第5話

ガチャチケットを使用して俺は虹色召喚獣確定ガチャを回す事にする。


「頼む……良く分からないけど、強い召喚獣が出てくれっ」


現状。俺は魔法も装備をする事の出来ないモンスター遣い。

精々空間転移と言うアビリティが使えるが、消費量が多い為に乱用は出来ない。

これから先の事を考えて出来るだけこのガチャで強い召喚獣を引かなければなかった。


虹色召喚獣確定ガチャを使いますか?と言う項目にはいを選択する。

そして画面には虹色の空が映し出されると雲を割って隕石が落ち出す。


「……ん?」


ここまでは普通の演出だ。

しかし、其処から先の演出が何故か変更されていた。

具体的に言えば、画面上に映し出される空は急に教会へと変わり、首から血を流したスーツ姿の人たちが花吹雪や拍手をして出迎えてくれる。人のアーチを潜り抜けると、教会の扉が開いてステンドグラスで虹色に輝く教会内に、ウエディングドレスを着た女性がその場に居た。


「え、なんだ?」


ヴヴヴ、と音が鳴り響く。それはまるで、全てを切り倒してしまいそうな高鳴りで、ウエディングドレスを着た女性が振り向いた。

その手にはチェーンソーが握られていた。ヴヴヴと音を上げて、一体誰を殺したのか、純白の花嫁は血に塗れていた。


『病める時も健やかなる時も――――貴方をお慕いします。旦那様』


そんなヴォイスが聞こえると同時に。

ヴヴヴと言う音が後ろから聞こえてくる。

俺は後ろを振り向くと、この異空間世界にチェーンソーの刃が突き出ていた。

そのまま、チェーンソーが上から下に向けて振り降ろされると、ウエディンクドレスを装着した花嫁が其処に居た。

ヴェールの隙間から見える、頬に付着した血と、白銀の髪。

光を失った黒塗りの瞳が俺を見ていた。


「え、ちょ、なんで……え?普通、あれ?スマホに保管されるんじゃ!?」


まったくもって不可解な登場だった。

チェーンソーを持った女性はそのまま俺に近づくと。


「お待ちしていました旦那様、さあ、私に指輪を下さいませ」


そう言って俺に向けて、指を向ける彼女。


「え、あ……は、はいっ」


咄嗟に俺は指に嵌めていた『楽園の箱庭ミニチュア・ガーデン』を彼女の薬指に嵌めた。

赤色に輝く宝石を見て、彼女は恍惚とした表情を浮かべて指輪を眺める。


「あぁ……旦那様、素敵な指輪をありがとう……これからは、私が貴方を守りますわ」


そう言って、血に塗れた体で俺の体を強く抱き締める。

血生臭い筈なのに、彼女の抱擁は何か、良い匂いが香ってきた。

ふと俺はスマホを確認した。彼女の情報を確認する為だった。


『〈血染めの花嫁〉』

『レアリティ・虹色』

『契約条件

レアリティ・虹色以上の指輪を差し出す事。

出来なかった場合はチェーンソーで首を斬られる』


……え?一歩間違えてたら死んでたじゃないか、俺。

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