第24話 【衝撃】タンパク質はプロテインだった……!!

 園崎に強引に引っ張られ、連れていかれたコーナーとは。


「まずは食品コーナーを出るわ」


「なぜだ?タンパク質を含んだ食材を買うんじゃなかったのか」


「もちろんタンパク質よ。いいからしのごのいわず付いてきなさい」


 奥の奥の方へと進んでいくと、目の前には薬局コーナーがあった。


「まさかサプリメントでも飲ませるつもりか」


「半分正解ね」


 薬局コーナー内を彷徨き、ようやく園崎はお目当てのものを発見した。


「これよ」


「粉末状のプロテイン?」


「そうよ。だってタンパク質をとるにはプロテインが一番だもの」


 タンパク質といえば肉だとばかりか思っていたよ。ここでプロテインを選ぶ園崎のセンスよ。


「いや、プロテインってなんだかまずそうじゃん。食いたくねえよ」


「一樹、あんたさ。タンパク質って、プロテインなのよ……?」


 驚くべき真実みたいな感じでいうもんじゃねえよ。それは一日が二十四時間だとか、一足す一が二であるくらい普遍的なことだ。これは、ギャグとして受け止めるべきなのかな。


「ハハハ、お前も面白いこというじゃねか」


「そ、そうかな。ちょっとだけ、うれしいかも」


 なんで今度は棒読みであることを突っ込まない。アイツはあれを本気で面白いと思っていっていたのかな。


「まあいい。だが、粉末状のプロテインは、高すぎる! 多分、99%のクラスメイトは同じ答えだろう。そんなの無駄使いだ。よくわからん白い粉に千円も払えるか」


「あんた正気なの。ここで千円出せば、きっと1ヶ月は持つわ。一日あたりたったの三十円よ。毎日コンビニで二人分のチキンを買うと、約四百円。どっちがお得かくらい、一樹のしょうもない脳みそでもすぐに計算できるでしょ」


「くっ…… 目先の値段の高さに囚われてしまっていたということか。だが、うまくなければダメだろ」


「美味しいから、プロテイン。美味しいから。ね、美味しいから。美味しいから。ね、おいし……」


 ガンガン洗脳しにかかってくる。粉末状プロテイン教の信者か。


「ウィダーでもプロテインとれんだけどな……」


「あれは全然タンパク質入ってないから。しっかりとれる粉末状の方がいいの。そんなに嫌なら、『おお! クスリのめたZE☆』に包んでごっくんすればいいでしょ。そうしたら結局お金かかるけど。まあ、まずかったとしても我慢しなさいよ」


『おお! クスリのめたZE☆』はお年寄りとかちっちゃい子が、薬に包んで飲むゼリー状のあれだ。ちょっと高いんだよ。


 いろいろ文句を言ったが、今はアイツに反論できそうにないので、仕方ない。購入するとするか。


「分かった、買う。ちゃんと水で飲む。だが、そこまでお前が進めるんだ。割り勘でいいよな」


「まじありえない。あたしの好意でやってるの。一樹のことを思ってやってるの」


 残念ながら、そういうのは相手のタメになっていないものなんだぞ。だからな。


「割り勘とか、まじありえないから」


「はい……」



「ご購入誠にありがとうございました〜」


 流されるままに、プロテインを買ってしまった。俺が園崎に勝てるプランが思いつかねえ。

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