(4)星空の贈り物

 要するに、こういうことである。


 あの星は宇宙船か何かで、あの子はそれに乗ってあの丘に墜落した、と。


 自分のベッドに寝かされた少女を見つめながら、カイはこんがらがった頭をなんとか整理しようとしていた。

    

 歳はカイと同じくらいの、銀髪の少女。


 肩に届かないくらいの髪に、小さな緑の耳飾りをしている。


 どうやら息はあるようだし、大きな怪我もないが、かれこれ2時間、一向に目を覚す様子がない。


 それにしてもあんな盛大に墜落して、よく無事なものだ。


 きっとあの宇宙船に、中の人を守る仕掛けがあるのだろう。


 そもそも、一体どこから来たんだろう。


 どうして宇宙船で、こんな所へ来たんだろう。


 ひょっとして、宇宙人という奴だろうか。


 いや、宇宙からこうして来たわけだし、もうそれは宇宙人ということになるのかもしれない。


 でももしかすると、この星から飛び立ってまたこの星へ落っこちたのかもしれない。


 目を覚まして、敵だと思われたらどうしよう。


 君が空から降って来た、とでも言えばいいんだろうか。


 ちゃんと、わかってもらえるかな。


 いやそもそも、言葉は通じるのかな。


 そういえば、お腹を空かしてるかな。


 地球のご飯は、食べれるのかな。


 目を覚まして、くれるかな。


 仲良く、なれるかな。



 カイの頭は色んなことでいっぱいで、今にも煙が出そうなくらいだった。


 とりあえず、寝よう。明日考えよう。


 急に疲れがどっと来て、カイはベッドの横のゆかに寝転んだ。


 明日には、元気になっていますように。


 そう祈りながら、カイは目を閉じた。




 しかし、すぐに飛び起きた。


「あっ!!!」


 カイは思い出したように、慌ててトイレへ駆け込んだ。

 


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星降る夜をいつまでも ぬま太郎 @numa_yorino_numa

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