第10話 おだいじに



その代わり、MLでいろいろと僕は話した。


彼女が体調が悪い、なんて言う時は

MLじゃなくて、メールで直接「お大事にネ」なんて書いたり

友人の医師から聞いた話を書いたり、した。



返事はほとんどなくて、廊下で会ったりすると

その話しをしたりする、ような感じだったのだけれども

僕等は、すこしだけ仲の良い同僚、と言う感じだった。


そして、僕はそれで良いと思っていた。と、思う。

今、思い返すと。









メールでのやりとりは、時々あった。

こんな感じで。




##このところ、膝がすこし痛むので

明日はお休みして、病院に行ってきます。





%%そう、お大事にネ。




##先生は、あとはリハビリだね、とおっしゃっていました。

  なんだかホッとしました。





%%良かったね、リハビリ?あ、温泉はどう?いいんじゃない?

足湯とか。




....こんなメールでのやりとりのあと、偶然廊下であったりすると僕は

その子とすこし、話しをしたりした。




.....あ、足の具合どう?




「はい、だいぶいいみたいです。」



その子は背が僕よりは低いので、対面して話すと

見上げるような感じで。

華奢な感じで、なんだか折れそう。




眼鏡の奥に隠れた瞳は、笑みを湛えている。


すぐにでも壊れてしまいそうで、大丈夫かな?と不安になったりする。

意外に、声は元気だったりして

若者らしく、アグレッシィヴな所もあるのだけれど。





....温泉いいよ?温泉。






「あ、でも冷やした方がいいらしいです。先生がそう...あ、でも

治ってきたら温めて、血行を良くした方が、とも...。」




.....そーなんだ、それじゃ、良くなったら温泉、行くと良いね。



「はい。」


にっこりと笑うと、なんだか中学生みたい。

僕は、そんなところを可愛いな、と思ったりもした。



.「でも、温泉ってこのあたりにありますか?」



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